上野泰也氏:2019年前半にも1ドル100円割れ

みずほ証券の上野泰也氏がドル円相場について、2019年前半頃の100円割れを予想している。
米FRBの利上げサイクルは終盤にあるといい、円安ドライバーは失われていくという。

「FRBは利上げを止めて様子を見るべきだというブラード・セントルイス地区連銀総裁の見解に、筆者は賛成である。
しかし現実には、6月のFOMCで追加利上げが決まり、ドットチャート(FF金利の予想分布)は上方シフト。
年内あと2回の利上げがFOMCの中心シナリオになった。」


上野氏はReutersで、今月のFOMC結果について違和感を示している。
確かに失業率は歴史的低水準だし、物価目標も達成された。
しかし、賃金上昇やイールド・カーブ形状には不安要因も見られる。
6月に利上げをするのはいいとしても、予想する利上げ回数が上振れた、つまり強気側に修正されたことには議論があろう。
だからこそ、市場もFOMC後に織り込みを変化させたのだ。

上野氏は、パウエルFRB議長の説明のあり方に「ご都合主義」を感じるという。
そして、同じことがECBにも言えるのだという。

「一種の結論ありきで金融政策の変更が決まり、その際にたまたま高めの数字になっていた物価指標も根拠の1つとして引き合いに出すというパターンは、年末の量的緩和停止を決定した6月14日の欧州中銀(ECB)理事会でも観察された。 」

FRBとECBが《データ次第》ではなく、方向性を決めてかかっていると考えているわけだ。
金融政策正常化を是としてプロセスを進め、それにあったコミュニケーションを行っている。
上野氏はこれをFRB・ECBの攻勢と考えている。
一方、日銀は大きく出遅れている。


「金融政策決定会合終了後の対外公表文で、消費者物価(除く生鮮食品)前年比についての現状認識は、『1%程度』から『0%台後半』に下方修正された。
なんとか追加緩和に追い込まれないようにし、『粘り強い』現状維持でしのごうとしている日銀は、明らかに守勢に回っている。」

2%目標が本当に本質的に重要であるなら、目標未達の今、追加緩和を検討すべきだ。
しかし、日銀の物価目標の位置づけはあいまいで、日銀にも可能ならば政策正常化を行いたいという思いがあるだろう。
だから、現状維持を防衛ラインとして守りに回っている。
心の中で《円高が進まないように、円安になってくれ》と願っているのだろう。

上野氏は、利上げが進展していること、イールド・カーブがフラット化していることなどから、FRB利上げプロセスが終盤にあると見ている。
一方で、円金利は依然としてペッグされている。
日米金利差はピークを迎えつつある。
日米金利差とは為替市場の参加者にとってマジック・カードだ。

2019年前半にかけて米利上げ「打ち止め」が市場のコンセンサスになる時、ドル円相場は100円ラインを突破するだろう。
そうなれば、日銀は「ヘリコプターマネー」的な外形の追加緩和という円高阻止策発動を余儀なくされるだろうと、筆者は引き続き予想している。

日本の金融緩和に終わりは見えない。
少なくとも日銀の意思は長く長く続くのだろう。
終わるとすれば、意思とは逆に持続不可能となってしまう時なのかもしれない。


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