小峰隆夫教授:1980年代バブルとのアナロジー

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経済企画庁経済研究所長などを歴任した小峰隆夫 大正大学教授が「バブルの教訓」を忘れるべきでないと書いている。
現在日本の置かれた状況、政策が1980年代後半に似ているというのだ。

「景気は86年11月に底を打ち、91年2月に景気の山を迎えるまで長期拡大を続けていた。
にもかかわらず、政府の内需拡大方針、公定歩合の歴史的低水準が続いたのはなぜなのか。」


小峰教授は、1980年代終わりのバブルを決定的にした当時の経済政策について自問している。
このバブルの崩壊が日本の《失われた10年》、《失われた20年》、《失われた四半世紀》の起点となった。
資産デフレが不良債権増大、信用収縮を招き、経済は悪化した。
度重なる財政政策も功を奏したとは言えず、政府の債務ばかりが積み上がっていった。

小峰教授は自問に対して解答を2つ用意しているが、それはいずれも米国発というべきものだ。

  • 日米経済摩擦において、日本の経常黒字を減らすためとの理屈で米国から強硬に内需拡大を要求された。
  • プラザ合意により始まった円高にブレーキを踏むため、金利を低位に維持せざるをえなかった。

米国の交渉スタイルは今も昔も変わらない。
目標が決まっていて、そのためなら手段を選ばない。
貿易の不均衡が問題なら、それを達成するために本来間違った手法でもいとわない。
他国に内需拡大・財政拡大を強いる、関税・禁輸を課す、為替を動かす・・・
どこの国も多少なりともやっていることなのかもしれないが、他国を圧倒する覇権国家がこれをやる。


相対的に弱い立場に置かれた国は何らかの形で従うしかない。
日本の場合「経済学的な論拠があいまいなままに政策的な対応が行われてしま」ったと、小峰教授は書いている。
中身はどうあれ、とにかく2つの変化に対応することが優先されてしまったのだ。
小峰教授は、今まさに似たようなことが起こっているという。
米国から貿易不均衡をなじられ、一方で円高に怯える金融政策だ。

小峰教授は、バブルとその崩壊が日本経済の諸問題の遠因であると書いている。
そして、今それを引き起こしたのと似たような状況・政策が存在すると危惧している。
現在の状況で現在の政策を継続すれば「バブルの教訓」は生かされないという。
教授は決してまたバブルがやってくると言っているわけではないが、文脈からはそう連想されてしまう。
このアナロジーについては、市場関係者なら違和感を覚える人も多いはずだ。

日本株などの資産クラスがこれからバブルに至る可能性があるのだろうか。
そこで1980年代後半を振り返ってみよう。

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