IMF:米財政刺激策の5つのリスク

IMFが米国に対する4条協議終了にともない声明を公表した。
そこには、米経済を熱している財政刺激策の5つのリスクが書かれている。


税と歳出の政策の組み合わせ効果によって、米連邦政府の財政赤字は2019年までに4.5%を超えるだろう。
これは、3年前の財政赤字の倍に近い。

IMFが声明に書いている。
もちろん、米財政悪化の主因はトランプ政権・共和党の財政政策だけではない。
日本と同じく、社会保障料負担が大きく効いている。
しかし、今回の財政刺激策には特有の性質がある。
それは、財政刺激策が好景気の中で講じられたことだ。

IMFは、こうした好景気の中での財政刺激策が米国とその貿易相手国の短期的成長につながると認めている。
一方で、同時にリスクも高めてしまうとし、互いに絡み合う5つのリスクを挙げている:


  • 公的債務拡大: 税制改正の生産への効果は限定的。
    「すでに持続不可能な公的債務対GDP比率の上昇ダイナミクスをさらに悪化させる。」
    2020年から予定されている財政再建も食い止めることはできず、2024年までには同比率は90%を超えると予想されている。
  • インフレ・サプライズ: 経済の供給制約が高まるにつれ、予想以上にインフレが進むリスクが上昇する。
    インフレ圧力が突然高まれば、FRBは市場の織り込み以上の金融引き締めを迫られ、これが市場・経済を混乱させる可能性がある。
  • 国際的な波及: 「米政策ミックスの変化は外国の企業・家計・政府にも重大な悪影響を及ぼしうる。」
    特にドル建て債務を持っていたり、借り換えのある経済主体への影響は大きい。
    すでに兆候があるとおり、新興国では資金流出が懸念され、米ドル高、世界的不均衡が拡大しかねない。
  • 将来の景気後退: 財政再建開始が予定されている2020年には金融引き締めのピークも予想されている。
    これが景気後退を引き起こし、外国経済にも悪影響が及ぶ。
  • 世界的不均衡の拡大: 米国の対外ポジションは中期的なファンダメンタルズより弱く、米ドルは割高と判断される。
    「完全雇用の中で財政刺激策により国内需要を拡大させれば、輸入増加率を高め、経常赤字を増加させ、米ドルに上昇圧力を与え、対外投資ポジションを悪化させる。」
    これは保護主義などのリスクを増大させる。

米経済を熱狂させている財政刺激策にはリスクも多いようだ。
その財政政策は、従来は財政上のタカ派だった共和党によってもたらされた。

このような強力に景気循環を増幅する財政政策は米国ではかなり珍しい。
1960年代のジョンソン政権以来である。

では、1960年とはどういう時代だったろう。

米長期金利(青)と消費者物価指数総合(赤)
米長期金利(青)と消費者物価総合(赤)


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