グランサム:大統領サイクルのスイートスポットが近づく

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大手投資会社GMOの共同創業者Jeremy Grantham氏が、米市場におけるバブル発生の可能性についてアップデートしている。
「最後のひと上げ」が起こる場合・起こらない場合での儲け方に言及しており興味深い。

「1999年、新たなインターネットの黄金時代がやってきたと信じられた。
グリーンスパンは、インターネットが無知の暗い雲を払拭すると語った。
1929年にも同様の熱狂があった。
熱狂や愚かな思い込み、完璧なファンダメンタルズやそれが永遠に続くと言う外挿なくして、1929年や2000年、そして2007-08年でも見られたような急落はありそうにない。」


バブルの研究家として有名なグランサム氏がMorningstarで予想した。
同氏は急落を「数年で50%」の下落と定義し、相当な「心理的エネルギー」が価格を押し上げていないと起こりえないと説明する。
端的に換言するなら「噴き上げがない限り急落はないだろう」ということだ。

グランサム氏は1月初め、米市場が「メルトアップの局面に入った」と予想した。
この「最後のひと上げ」予想はレイ・ダリオ氏、ジム・ロジャーズ氏、JP Morganなど多くの人が追随することとなった。
グランサム氏は、過去のファクトからバブル崩壊前の「最後のひと上げ」の要件を炙り出している。

「噴き上げは通常の倍の加速度が必要で、2年弱、21か月程度維持しなければならない。
以前の(市場)サイクルでは、60%以上も上昇している。」

この観点からグランサム氏は1月にメルトアップを予想したのだ。
1月末まで米市場は速いテンポで上昇を続け、3月末までにあと10%上昇すれば21か月で60%上昇となっていたのだという。
ところが、インフレ懸念をきっかけとした1月末の急落で、この条件は実現しなかった。
株価が足踏みを始めたことで、ゴールは上昇してしまった。
これで、メルトアップの確率は下がってしまったという。

その後、インフレ懸念は杞憂との見方が強まっている。
もっとも、それは単なるきっかけにすぎなかったのだろう。
市場は(10%程度の)調整があってもおかしくない状況であった。
そこに、何でもいい、きっかけが訪れたのだ。
グランサム氏は、1月末の急落の真の原因を推測する。


「理由は、政権が生み出す重要事項に対する不確実性が絶え間なく混乱を引き起こし、投資家を神経質にしたためだ。
・・・一方で良好なデータ、もう一方でトラブルの源が存在する。
通常では見られない一種の神経質な均衡だ。」

「愚かな熱狂」が生じる前に、愚かな政権によって意図せざるガス抜きが行われる。
結果、1月まで50%超としていたメルトアップの確率は下がったという。
しかし、それでも30-35%未満まで引き下げることはないとグランサム氏は言う。
まだ、バブル・メルトアップのラスト・チャンスは残っているというのだ。

もしも中間選挙が市場を安心させれば、大統領サイクルのスイート・スポット(今年10月から来年5月にかけて)は信じられない7か月になる。
スイート・スポットでは、1932年、フランクリン・ルーズベルト以来、平均約17%上昇してきた。

グランサム氏のシナリオは2つだ。

  • 第1のシナリオ:メルトアップ
    メルトアップが起これば売り抜け、追ってメルトダウンが起こった時に買い戻す。
  • 第2のシナリオ:がたがた道
    比較的小幅な上げ下げを繰り返しつつ下落し、PERがまずまずの水準まで低下する。
    過去にはあまり見られないが、起こりえないわけではない。
    「すでに新興国とEAFEをオーバーウェイトし、米国株は手放している。」

メルトアップをメイン・シナリオに挙げているのに、米国株は売却済みとはどういうことか。
実はグランサム氏は、アップサイドを現物株ではなくコール・オプションで得ようと試みている。
アウト・オブ・マネーのオプションを購入することで、コストも低廉に抑えることができる。

一方、第2のがたがた道シナリオでは、レラティブ・バリューのポジションを取ることで長期下落市場を乗り切ろうとしている。
ロング・オンリーではだらだらとした下落には耐えられないためだ。

「今後5年の予想では、S&P 500が20%下落して新興国が20%上昇する可能性だってある。
・・・年金基金にとっては散々な市場だが、GMOのレラティブ・パフォーマンスにとってはなんてことないんだ。」


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