マーク・ファーバー:アップサイドは限定的

スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏が、新興国市場と自身の最大の失敗について語っている。
相対的には米市場より新興国市場の方が有望とのシナリオを立てているという。

「世界経済は依然として非常に不安定。
債務レベルは持続不可能。
金利は下がるのではなく上がっている。
つまりレバレッジは高く、2007年より債務対世界経済の比は拡大している。」


ファーバー氏がSeeking Alphaインタビューで話した。
同氏の見方はあくまで弱気だ。
世界経済は不安定とは言え、むしろいい状態にある。
それでも楽観視できないところが終末博士たるゆえんなのだ。

「世界中の市場は基本的に目いっぱいの株価がついている。
アップサイドは限られており、ダウンサイド・リスクが存在する。」

世界経済が良好と考えたとしても、市場のアップサイドが限定的との見方には賛同する人が多いかもしれない。
こうした状況の下、市場にとってよからぬシナリオが実現した場合どうなるだろう。
ファーバー氏は

「仮に、企業収益の低迷、世界経済の後退、地政学的イベントによる何らかの危機によってダウンサイド・リスクが実現するなら」

という条件分けによって世界の株式市場の先行きを予想している。
その答えは、米市場でなく新興国市場をオーバーウェイトしろというものだ。

世界のすべての市場が下がるなら、新興国市場は米国より下げが少なくて済む可能性がある。
もしもすべてが上昇するなら、新興国市場は米国市場より上がるだろう。
米市場のアップサイドは9年にわたる景気拡大で相対的に限定されており、金利がさらに大幅に上がらなくとも下がることはなさそうだ。

ファーバー氏は相対的な見地で新興国市場を推しているが、鵜呑みにすべきではない。
先日も新興国市場の優位性を説いていたが、それでも短期的には苦しい時期もありうると示唆している。


何がダウンサイド・リスクとなるのかを尋ねられると、ファーバー氏は過去の危機でもそうだったように事前には予見できないと答えた。
それは、同氏の投資における最大の失敗で思い知ったことのようだ。
ファーバー氏最大の失敗とは1990年代終わりにハイテク株をショートしたことだという。
その後もハイテク株は2000年3月まで力強く上昇し、1999年10月から2000年3月までだけでNASDAQ 100指数は倍になったという。
度々ファーバー氏が口にするこの大失敗は、同氏に大きな損失をもたらした。

「ショートのアイデアはよかったが、タイミングが最悪だったため、大きな損失となった。
この教訓は、量的緩和環境やバブルにおいては、いつバブルが終わるかを確実に予見することはできないということだ。」

ファーバー氏によれば、ショートは市場の連続的下落がすでに始まった後(リバウンドまで)には分がいいが、上げているうちからやるのはあまりにもリスクが高いという。

ファーバー氏のドットコム・バブルでの読み違いは、同氏の社会観と強く関係しているかもしれない。
同氏はサブプライム/リーマン危機を中央銀行の産物と考えている。
(これはかなりの部分事実であろう。)
良くも悪くも、中央銀行があまりにも人為的に金融・経済に介入していることが景気の振幅を大きくしているとの見方は、かなり一般的なものだろう。

「地政学的イベント、国内政治のイベント、大きな破綻、大きな詐欺の発覚、戦争の勃発などがあった場合、資本主義者が真にとるべきは、市場が下落し始めたらそれに任せることだ。」

極論にも聞こえる意見だが、理のないことでもあるまい。
ファーバー氏は先進国の政府・中央銀行について計画経済、社会主義的な色彩が強まっていると指摘する。
日本についても、異次元緩和を社会主義化・計画経済化、あるいは社会主義化、共産主義化と揶揄している。
歴史を見れば、そうしたやり方が成功するのは、為政者が資源の配分において神にも優る結果を残せる場合だけだが、なかなかそうした例は見いだせない。


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