エラリアン:しっぽが犬を振りまわす

独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が、世界の金融市場の引き締まりを警告している。
特に新興国市場ではファンダメンタルズとは関係なくリスクが高まっているという。


「世界的な金融環境はどこにいようが引き締まりつつある。
・・・世界の流動性についてこれは今後も進むだろう。」

エラリアン氏がBloombergで語った。
FRB・ECBのスタンスの変化が世界の金融市場の環境変化を引き起こしつつあるとの指摘だ。
エラリアン氏は中央銀行の行動に重要な2つの変化がみられるという:

  • 十分な流動性を極めて安価に供給することをやめる
  • 金融市場のボラティリティを口先介入で抑え込むことをやめる

この変化は市場を波立たせ、押し下げる力となるだろう。
しかし、それでも先進国の市場はなんとか持ちこたえている。
もっと心配されているのが新興国市場だ。

しっぽが犬を振りまわしている。
これが新興国のリスクだ。

エラリアン氏が新興国市場のリスクをこう喩えている。
胴体がファンダメンタルズ、しっぽがテクニカルだ。
新興国のファンダメンタルズは一部を除いて悪くないが、それだけではだめで、テクニカルが重要だという。


「この資産クラスは伝染しやすい。
・・・この資産クラスでは、根づいたマネーを国境越えのマネーが圧倒する。
国境越えのマネーが最近のように出て行ってしまうと、ほとんどの国が影響を受ける。
これは新興国でよくみられる純粋にテクニカルな外生的要因であり、ある時はオーバーシュート、ある時はアンダーシュートにつながる。」

エラリアン氏はFRBが今後もバランスシートを縮小させていくと予想している。
これは市中に米国債を戻すことであり、かわりにマネーを回収することである。
また、米財政赤字の拡大も必至だ。
これは市中のマネーをより多く米政府が借り入れることを意味する。
これらはいずれもドル金利上昇を連想させ、これまで新興国に向かっていたマネーの流れは細り、あるいは逆転しかねない。

こうしたマネーの満ち引きが新興国経済を翻弄してきた点について、前RBI総裁ラグラム・ラジャン氏は長い間指摘を続けてきた。
先進国は政策を策定・実施する際に、国内だけでなく外国への波及も十分勘案すべきとの主張だ。
しかし、そうした主張が本格的に取り入れられる様子は見えない。
エラリアン氏の見立てはこうだ。

「インドは『世界的なマネーの潮流が引き上げてしまうと、個々の(新興)国の脆弱性が上がってしまう』と言っている。
新興国は警告を発しているだけで、FRBの政策は変わらないだろう。
FRBが勘案するのはほとんどが国内要因であり、大きな世界的危機でもないかぎり政策は変更されない。」

エラリアン氏によれば結局はIMF融資など何らかのブレーカーが必要だという。
しかし、これでは事前に危機を防ぎきることはできないだろう。


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