ラグラム・ラジャン:新興国市場は脆弱ではない

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元インド中央銀行総裁 ラグラム・ラジャン教授が、米金融政策と新興国市場について見通しを述べた。
新興国市場は一部例外を除いて大きな波乱は予想されないとする一方、世界経済にとってトランプ政権が大きなリスク要因となっていると話した。


もしかしたら(FRBは)来年あと1回利上げして、それで打ち止めになる。
中立金利に近づくからだ。

ラジャン教授がBloombergで、世界経済によほど悪いことが起こらなければとの条件付きで年内あと3回の利上げを予想した。
さらに来年あと1回の利上げの可能性があるというから、ラジャン教授の利上げ予想は今サイクル残り3-4回となる。
FF金利誘導目標は現在1.50-1.75%だから、今回の利上げサイクルの終点は2.25-2.50%または2.50-2.75%となる。
これが米国の中立金利に近いとラジャン教授は示唆しているわけだ。
ちなみに、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁は同金利を2.75-3.00%、サンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁は2.50%と推計している。


利上げは意外と早く終わるのかもしれない。
そうだとすれば、金利差を理由とするドル高の余地も小さくなる。
ラジャン教授を信じるなら、残り3-4回を市場が織り込んだところで金利差の持つドル高圧力は消滅する。

金融政策を順調に正常化させていくFRBに対し、FRBの金融引き締めが他国、とりわけ新興国に悪影響を及ぼすとの懸念も強い。
ラジャン教授はこうした心配を共有し、主要中央銀行は金融政策が他国に及ぼす影響を十分に考慮すべきと注文をつける。
一方で、いくつか個別の問題を抱える国を除けば、総じて新興国の状況は悪くないという。

「いくつかの例外を除けば、現在の新興国市場の状況は改善している。
・・・テイパータントラム(2013年のバーナンキ・ショック)のようなことは起こらないだろう。」

ラジャン教授は、アジアの新興国についても健全さを増していると説明し、根拠として小さな経常赤字、小さな財政赤字、穏やかなインフレを挙げた。

一方、米国が自ら作ったルールを無視し、2国間交渉に突き進む現状に大きな危険を感じている。

交渉戦略、ディールの作り方が姿勢を硬化させ、取り返しがつかなくなるのを心配している。
それが実際に大災害をもたらし、高いレバレッジ・完璧を前提とした資産価格と結びつけば、潜在的にボラティリティを高める可能性がある。


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