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フィラデルフィア連銀:隣の芝生で身を持ち崩す

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フィラデルフィア連銀から、大当たりと破産についての面白いワーキング・ペーパーが出ている。
人々は知ってか知らずか周りの人の大当たりの影響を受けているというものだ。


Sumit Agarwal、Vyacheslav Mikhed、Barry Scholnickによるこの論文は「所得格差のある似た者同士が社会的状況を比較することで持続不可能な債務や金銭的困難を生み出しうるという仮説」を証明するために行われた調査の結果だ。
調査対象はカナダのある地域で宝くじに大当たりした人とそのごく近所の住人だ。
(当選者1名に対して近所の住人はメジアン13名。)

主たる発見は、宝くじで大当たりした人の当たり金額が大きくなるにしたがい、追ってその人の近所で破産申請する人の数が増えるということだ。

なんという深刻な、それでいて微笑ましい現象であろうか。
著者らはこの原因を探っている。


「主たる結果の説明として、破産した近所の住人による突出した消費・金融上のリスク・テイク増加と矛盾しない証拠を示した。
また、近所全体の借入金額の合計が、宝くじの金額とともに増加していた。
見いだした現象は、宝くじに当たっていない住人の金銭的困難・破産につながる突出した消費のため、リスク・テイクや債務蓄積が増加したことと矛盾しない。」

著者らの意図には、銀行が宝くじ当選者のいる地域住人にローンを出す場合へのインプリケーションも含まれている。
ただし、多くの読者の関心はそこではないだろう。

投資家がこの論文を読んで思い浮かべるのは、周囲に仮想通貨やグロース株で大当たりした人がいるという状況ではないか。
投資家の中には投資サークルを作ってさかんに情報交換をしている人もいる。
友人間の投資にかかわる立ち話もあろうし、SNSの世界はそういうコメントで溢れている。
注目を浴びやすいのは大当たりしたり大外れした話だろう。
大外れの話が周囲にどう作用するのかは理解しがたいが、大当たりの話が周囲のリスク・テイクを増やすというのは極めてありそうな話だ。

リスク・テイクを促されることは損なのか得なのか。
いかにリスク・テイクが過小とささやかれる日本人であっても、十分な検討をともなわないリスク・テイクは得とは言えないだろう。
投資とはつくづく心理戦だと感じさせる。


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