PIMCO:市場が経済よりアンダーパフォームする

債券ファンド大手PIMCOが、マクロ経済の大きな変化を予想している。
今後は市場が実体経済よりアンダーパフォームする時代に入る可能性が高いのだという。


趨勢的なホライズンで見て、私たちは、良かれ悪かれ、とても異なるマクロ経済のあり方を予想している。
重要なシフトはすでに始まっている: 各国中央銀行が方針転換し財政政策が拡張的になるなど金融・財政政策のミックスが変化し、規制の対象が金融からテクノロジー・セクターへ移り、経済的国家主義・保護主義が台頭している。

かつてモハメド・エラリアン氏とビル・グロス氏の下で金融危機後の「new normal」を唱えたPIMCOが、今またマクロ経済の大きな変化を主張している。
その変化は「良かれ悪かれ」の性質を有しているという。

  • 良い面: 危機後の低成長から脱し、比較的高い経済成長が見込まれる。
    「ただし、高い潜在成長率は、同時に実質金利を上昇させる可能性が高い。」
  • 悪い面: 今後3-5年で到来が予想される景気後退がポピュリズムを助長する。
    それが行き着くところは「急進的な所得・富の分配、より攻撃的な保護主義、主要企業または産業の国有化、中央銀行の独立への攻撃」だ。

なんと言っても現状の市場の関心は次の景気後退にあろう。
PIMCOは、次の景気後退が深く短いV型でなく浅く長いお椀型の景気後退になると予想している。


  • 浅い景気後退: 米国において企業・家計に過剰な投資・消費の兆しはなく、金融セクターも過去より健全と見られるため。
    主たるリスクは金融機関以外の企業のレバレッジ。
  • 長い景気後退: 金融・財政政策の余地は小さく、景気後退への対応策は限定される。
    また、景気後退が反グローバル主義、通貨戦争を掻き立て、全体のパイを小さくしてしまうかもしれない。
  • 危険な景気後退: 世界中でインフレ期待が低く、ユーロ圏の弱さが露見しており、景気後退によって富の分配・収用を狙うポピュリズムが台頭するかもしれない。

資産市場においてはすでに過去数年のような一本調子の上げの継続は期待できなくなっている。
PIMCOは投資家に、市場環境の変化に順応するよう説いている。

「2008年の危機以降、悪い経済ニュースが起こると政策当局が迅速に対応してきたため、金融資産にとっては常に良いニュースと解釈されてきた。
しかし、この『押し目買い』の心理は続かない。」

グリーンスパン時代から続いてきたFRBプットはリーマン危機を経て行きつくところまで行きついた。
《下がれば買え》が合言葉となり、ゴルディロックスと呼ばれる少々怪しい論理がまかり通ってきた。
それが今終わろうとしているとの見方だ。
むろんパウエル現FRB議長も市場への配慮をやめたわけではない。
しかし、パウエル議長は金融政策を極端な緩和から正常化させようとしている。
ここに、資産価格の下支えというシナリオは見いだしにくい。

金融資産は過去10年、大きく実体経済をアウトパフォームしてきた。
しかし、次の10年、逆のことが起こる可能性が高い。

PIMCOでは(特に民間セクターへの投資について)現金等価物を積み増すよう奨めている。


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