ビル・グロス:大幅ロスの真相

債券王ビル・グロス氏が、昨日公表された5月の米雇用統計にコメントした。
年内利上げが6月で打ち止めになると予想した他、自身の運用ファンドで生じた大幅ロスについて内容を明かしている。


この統計は間違いなく6月の利上げを後押しするだろう。
・・・FRBのタカ派は(年内利上げを)あと1回、2回、人によっては3回と言うだろう。
しかし、私は6月が最後だと考えている。

グロス氏がBloombergで米雇用統計にコメントした。
5月の米雇用統計は総じて好調な結果と受け止められ、市場は株高・金利上昇で反応した。

  • 非農業部門雇用者数: 前月比223千人増(市場予想は190千人増)
  • 失業率: 3.8%(前月比0.1%ポイント低下。2000年4月とならんで1969年以来の低水準)
  • 平均時給: 前年比2.7%増

米景気への安心感が高まる中で、市場が織り込むFRBの年内利上げ回数は大きくなっている。
イタリアの不安により一時は年3回に低下していたが、再び4回を予想する人が増えている。
その中でもグロス氏は、従来どおり年2回予想にとどめている。
平均時給の改善にものたりなさがあるためだ。


預金者は年1-2%収奪されている

Bloombergキャスターがグロス氏に、実質賃金・実質金利は上昇するのかと尋ねた。
実質賃金上昇は労働に対する対価の向上であり、実質金利上昇は投資に対する対価の向上である。
グロス氏は実質金利がすでに上昇しており、3-4年前よりは状況が改善したと述べている。

「実質金利は過去とは異なりゼロより大きくなっている。
だから、厳密な意味で金融抑圧とは言えない状態になっている。」

5年米国債(青)・物価連動国債(赤)利回り
5年米国債(青)・物価連動国債(赤)利回り

確かに実質金利はプラスになった。
しかし、それでもなお市場金利が米金融緩和の影響から完全に脱したとは言えない。
依然として投資家のリターンは金融緩和の一部影響で(市場が決めるであろう水準より)低位にある。
現状は、ジョセフ・スティグリッツ教授が「金融抑制」と呼んだ領域にある。
グロス氏は、金融政策による収奪の効果を推測している。

「長期的な金融抑圧からは抜け切れていない。
平均的な預金者は年1-2%を収奪されている。」

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