河野龍太郎氏:所得分配より経済成長が先

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BNPパリバの河野龍太郎氏が「経済成長が先か、所得分配が先か」という問いについてReutersで論じている。
そのコラム、ある意味でとても面白い。


いつもどおりとても含蓄の深い内容なので、ぜひ原文を読まれることをお奨めしたい。
ここでは、そのユニークな面白さ、そして意外な展開についてちょい見せしたい。
そのコラムのユニークな面白さとは

  • 前提となる命題のキレ味がとても鋭い
  • そこから導かれる命題がとても月並み

ということだ。
結論は原文を読んでのお楽しみとして、切れ味のある前提のくだりを紹介しよう。

経済成長が先か、所得分配が先か――。
この問いへの経済学的な回答は明らかであり、前者が先である。
つまり、資源配分の効率性を高めて、1人当たりの経済成長を促し、経済全体のパイを拡大した上で、所得分配を行えば、一国全体の経済厚生を高めることができる。


なんと潔い表明であろうか。
日本のみならず世界中でトリクルダウンの実効性が否定されつつある中、最初にあまりにも厳しい現実を読者に提示するのである。
河野氏はダメを押す。

先に所得分配を行って、資源配分の効率性を損なえば、経済成長につながらないばかりか、経済全体のパイを縮小させる恐れがあり、一国の経済厚生を悪化させてしまうことになりかねない。

河野氏はこうした前提を置いた上で「倫理的、道徳的な立場から」ではなく、経済厚生を高めるという極めてプラグマティックな目的に向かって議論を進めていくのである。
そして行き着くのはとても月並みな命題なのだ。
厳しい前提から月並みな結論が導き出される。
こうしたロジックは反論を許さない残酷さを有している。

ぜひ、その月並みな結論を読まれることをお奨めしたい。


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