ソロス:金融危機が近づいている

ジョージ・ソロス氏がEUの現状について危機感を示した。
新興国通貨からの逃避が新たな金融危機の引き金になりかねないと指摘している。


「2008年以降EUは道を見失ったかに見える。
緊縮財政を採用した結果、ユーロ危機を招き、それがユーロ圏を債権者と債務者の関係に変貌させてしまった。
債権者が条件を定め債務者が従う。」

ソロス氏がProject Syndicateで欧州金融危機後のEUの変貌を振り返った。
危機を迎えるまでのEUは、ソロス氏が理想と考える「開かれた社会」を実現しようとする共同体に見えていたという。
しかし、危機後その姿は大きく変化したという。
債権国と債務国の間に上下関係が生じ、債務国は債権国の定める条件を受け入れるしかないが、結局は条件を満たすことができない。

「それが自発的でも平等でもない関係を生み出したが、これはEUがよって立つ精神とは真逆のものだ。」

債権国が主張する緊縮財政は若者から職と未来を奪ってしまう。
タイミングが悪いことに、そこに無数の難民が流入する。
こうした窮状に付け込むポピュリストが欧州各国で次々と台頭している。

さらに、大西洋の向かい側では、トランプ大統領が問題を難しくしている。


「単独で2015年のイラン核合意から撤退することで、ドナルド・トランプ大統領は効果的に欧米間の同盟関係を破壊してしまった。
・・・欧州はもはや実際の危険性にさらされているのではなく、厳しい現実の中にあると言うべきだ。」

ソロス氏はEUが3つの大きな問題を抱えていると総括する:
・難民流入
・緊縮財政
・分裂

難民流入については途上国の経済状態も大きく関係している。
ソロス氏の危機感は大きい。

ドル高によって、すでに新興国通貨からの逃避が始まっている。
私たちは再び大きな金融危機に向かっているのかもしれない。
アフリカなど途上国世界のためのマーシャル・プランによる経済刺激策が正しいタイミングで講じられなければならない。

最近、新興国通貨の脆弱性への懸念が多く聴かれるようになった。
新興国の中には強く成長した国も多いから、すべてを一緒くたに論じるのは適切でない。
しかし、欧州への難民の出所であるアフリカについて言えば、多くの経済がいまだ脆弱であるのが否めない。
ソロス氏が言いたいのは、難民を生まないような世界経済の環境を作るべきとの主張である。

一方、緊縮財政や分裂懸念への手だては、加盟国の多様性への配慮だろう。

「多段階変速の欧州ではなく、目標とすべきは『多軌道の欧州』だ。
欧州は加盟国に対し、より幅広い選択を許容すべきだ。」


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