カシュカリ:再び教訓を忘れ金融危機を引き寄せる

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ミネアポリス連銀Neel Kashkari総裁が、米金融規制改革法緩和について危機感を示した。
米国が再び金融危機に向かう可能性が否定できないという。


銀行セクターは前回の金融危機の時と比べ、はるかに集中度が高まっている。
私はこれを金融システムの中核にある原子炉と呼んでいる。
原子炉は過去より大きくなり、放射能が強くなった。

22日に米議会を通過した金融規制改革法(ドッド・フランク法)改正法案についてカシュカリ総裁がTheStreetのインタビューで危機感をあらわにした。
カシュカリ総裁は、法案の本質について、そのキャッチ・フレーズとは似ても似つかぬものだと批判する。

「通過したばかりの銀行法案は地域銀行の改革として推進されたが、実際には地域銀行のためにはほとんどならない。
本当に大きな地方銀行のためというところが大きいんだ。」

カシュカリ総裁によれば、現在の米政界では、風が規制強化ではなく規制緩和の方に吹いているという。
それが是々非々の議論さえ許さないのだという。
この結果、総裁は、米国が再び金融危機のタネをまき始めているとの見方に同意する。

「人類の歴史が金融危機で溢れていても、私たちは教訓を忘れ、過去と同じ誤りを繰り返している。
たった10年で、すでに前回の金融危機の悲惨さを忘れている。
またすべてが大丈夫だ、ルールの一部を緩和できる、将来も大丈夫だ、と自分に信じ込ませている。」


金融危機は再び「もしも」の話ではなく「いつ」の話になってしまったのだという。
そして再び金融危機が起これば、不公正な富の再分配が起こるという。
銀行のベイル・アウトが起こり、株主・債権者・経営者の地位や金銭的利益が守られる。
その負担を一手に背負うのが納税者だ。

「次の危機が来れば、政府は再び言うだろう。
『銀行システムが崩壊し、その損失を株主・債権者に負わせれば、実体経済を荒廃させ、再びグレート・リセッションや大恐慌に陥ってしまう。
だから救済しなければならない。』
これこそ銀行の株主が責任を果たしていない究極の理由だ。」

カシュカリ総裁と言えば、金融政策におけるハト派の最右翼との印象が強い。
しかし、それは親・金融機関ということではなく、反・金融危機ということなのかもしれない。
では、金融政策についての現状認識はどうなのか。

「インフレが昂進するとはまだ考えていない。
現状のインフレ水準を喜んでいる。」

米国はついに2%物価目標を実現した。
カシュカリ総裁は、賃金上昇や労働市場に課題が残っているとしたが、インフレについては心地よい状態に達したと見ているようだ。
経験的に、米経済過熱・インフレ上昇が始まると、FRBのさじ加減はますます難しくなる。

「リスクは、FRBが不必要に速く金融政策正常化を進め、経済回復を終わらせてしまうことだ。
私が注意していることの1つがイールド・カーブの形状で、かなりフラット化してきた。
逆ざや化したイールド・カーブは景気後退の最良の先行指標だ。
私にとっては、FRBの引き締めすぎの指標になっている。」


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