パトリック・ハーカー:中立金利は2.75-3.00%

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フィラデルフィア連銀Patrick Harker総裁が、中立金利とFRB利上げについて話した。
その内容は、ドル高へのベットの落とし穴を強く感じさせるものになっている。


政策金利は中立金利に近づいている。
中立金利はおおよそ2.75-3.00%だ。

中間派と言われるハーカー総裁がCNBCで語った。
総裁は年初の時点で今年と来年について3回ずつの利上げ(25 bp幅)を想定していたといい、これまでのところその想定に大きな変更はないという。

デフレ脱却プロセスにおけるFRBの役割はインフレを上昇させることだった。
これは、伝統的な中央銀行の使命=物価の番人のあり方とは逆の役割だった。
しかし、米コアCPIはすでに前年同月比で2%上昇を上回っている。
FRBの今後の役割は上下対称の物価安定となる。
それでもハーカー総裁のスタンスは慎重だ。
デフレの芽を完全に摘むために、2%物価目標のオーバーシュートは許容されるべきと話す。

「(上限は)2%程度の数字だとは考えていない。
・・・インフレが2%に上昇しつつあり、たとえば2.25%までいけば、違った対応になろう。」

しかし、2.25%も決して遠い話ではないかもしれない。

FF金利の誘導目標は現在1.50-1.75%だ。
ハーカー総裁の予想どおり今年あと2回・来年3回の利上げを行うとすれば2.75-3.00%となる。
これは総裁の言う中立金利そのものの水準だ。
このため総裁は、2019年で利上げが打ち止めとなる可能性があると話している。


「中立金利を大きく超えることは避けたいので、そうなりそうならブレーキを踏まないといけない。」

こうした発言は、為替市場の投資家に米金利のピーク到来を印象付ける。
日米金利差を目安にドル円の売買をしている投資家は日米金利差の上限を意識し始めるのではないか。
ここでの金利差とは足元の金利差ではなく、市場が織り込む金利差だ。
仮に今年あと2回・来年2019年に3回の利上げが市場に織り込まれているとすると、ドル円の上昇ドライバーは見えにくくなる。
CME FedWatch Toolによれば2019年1月時点のFF金利織り込みは2.00-2.25%と2.25-2.50%が大勢となっている。
市場の織り込みはハーカー総裁の想定よりいくぶん先を行っているように見える。

ただし、ハーカー総裁は、中立金利が多少の変動をともなうものであるとも指摘している。
中立金利が上下するなら、FF金利のゴールは変化しうると示唆した。

仮にFF金利が2.75-3.00%でピークとなるなら、そこからの利下げ余地は3%しかない。
ローレンス・サマーズ元財務長官らも警告しているように、通常の利下げサイクルでは5%程度の利下げ幅が必要になる。
次の景気後退期、金融政策は弾薬不足に陥る可能性が高い。

ハーカー総裁は「それもすべて実質中立金利r*にかかっている」と語る。
中立金利は固定的なものではなく、生産性向上策が功を奏すれば上昇し、景気を抑制しない利上げ幅は広がると指摘している。


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