レイ・ダリオ:中国はいかなる戦争も求めていない

Bridgewater AssociatesのRay Dalio氏が、米中貿易摩擦の一時停止に関連して、中国についてコメントした。
素直に緊張緩和を喜ぶその文面だけを見ると、少々楽観的すぎとの感が否めない。


昨日、私は北京にいて再び触発された。
私は中国の30年あまりの進化に参加し、そのシステムによって絶えず触発されてきた。
このシステムは進化し、目覚ましい成果を生み出す目覚ましい人々を輩出してきた。

ダリオ氏がSNSで書いている。
ダリオ氏と中国のきずなは強い。
ブリッジウォーターは中国政府資金の外国資産運用や中国投資家資金の国内運用に従事している。
こうした関係はダリオ氏が中国に熱心だった結果だろうし、中国政府もダリオ氏を買っているためだろう。
そのダリオ氏が中国を絶賛するのは当たり前と言えば当たり前。
もっとも、中国がすばらしい国であることは客観的事実でもあろう。
ただ、多くの国がそうであるように、すばらしい国であると同時に、よからぬ側面も多く備えた国であるというだけだ。

「中国経済がどんどん活気を増していく中でその崩壊を繰り返し誤って予想してきた人たちは、私に対して中国の見通しや指導者を客観的に評価できていないと批判してきた。
彼らは理解していない。
・・・交流がないがために多くの誤解が存在する。
もちろん指導者は試練に直面しており、難しい選択を迫られている。
しかし、読者が私の誠実さ・判断力を信じてくれる範囲において、彼ら指導者はよく訓練され、賢く、大きな歴史的視点を持ち、有能だ。」

これもほめ過ぎかもしれないが、事実は事実だ。
中国のトップ指導者が傑出した人物であろうことは想像に難くない。
特に、習近平首席については、中国の指導者層の1つの問題点である腐敗に対してもメスを入れている(少なくとも少しは)。
米国や日本の指導者と比べた時、勝るとも劣らないと言わざるをえないのではないか。

ダリオ氏は、中国の指導者がいかなる種類の戦争も求めていないと書いている。


「1つの小さな戦争が他の戦争に結びつき、そうした対立が容易に制御できなくなり、想像を超えた恐ろしい戦争に結びつくことを彼らは知っている。
もちろん競合はあるし、価値観ややり方の違いもある。
もちろん緊張も起ころうし、中国人は限界を超えて押し切られはしないだろう。
しかし、最も基本的には広くトゥキディデスの罠の危険、戦争なき進化への傾注が知られている。」

ここには明らかな論理のすり替えがあろう。
世界中見回しても、戦争を求める国家指導者などほとんどいない。
誰しもやりたいようにやって相手が言うことを聞いてくれれば戦争などしたくないのだ。
世界2位の経済大国がいまだに途上国のような産業保護政策をとっている。
周辺諸国の主権を無視し強引な海洋進出を行っている。
中国が戦争に至らないのは中国の徳が高いからではなく相手国の徳が高いからだろう。

ダリオ氏は以前、政治は不得意であり、そうした観点では多くのリスクをとらないようにしていると語っていた。
つまり、天才をもってしても、この分野を読み切ることはできない。
そうだとすれば、トゥキディデスの罠のリスクはやはり無視できないと言わざるをえないのではないか。


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