ロバート・シラー:仮想通貨は新しくない

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、仮想通貨の新しさについて論じている。
歴史上、新たなお金を作ろうという試みは珍しいことではなく、仮想通貨を過大評価すべきではないという。


私たちは、お金を再発明しようという試みに長い歴史があることを心にとめなければいけない。

シラー教授がProject Syndicateで書いている。
何か新しいものを作った時、自画自賛の誘惑にかられるのは人情だ。
実際以上に新しいものを作ったと吹聴したくなる。
「This time is different.」と言いたくてたまらないのだ。
そうこうしているうちに、自分でもそれを信じ込んでしまう。
さらに、悪者の手に落ちれば、実際以上の新しさがアピールされ、投資家をフィッシングするエサになってしまう。

「世界中での(価値の)交換手段として、さまざまな形態のお金は神秘に満ちている。
私たちはお金で人の価値を測りがちだ。
お金は何よりも物事を指し示している。
しかし、それは単なる紙切れが支払いの度に流通しているだけのものだ。
だから、その価値は紙切れへの信用・信頼によっている。
人はそれを信認と呼ぶ。」


お金の再発明の試み

シラー教授は現れては消えて行った新種のお金の一例を挙げる。
はかなくも消えて行ったこれらお金は、結局のところ交換手段として定着しなかったり、信認を得られなかったり、他のお金と比べて優位性を発揮できなかったりしたものだ。

  • labor note: 1827-30年Josiah Warner(ママ、Warrenとの表記の情報が多い)がCincinnati Time Storeで実験した、労働を引き当てとする通貨。
    2年後には英国人のRobert Owenも導入を試みている。
  • erg: 1930年代の大恐慌の時期、Technocracyとコロンビア大学が提唱した、エネルギーを単位とする通貨。
  • electric dollar: 1932年John Pease Nortonが提唱した、電気を引き当てとする通貨。

おそらく新種のお金はこれ以外にも無数にあったのだろう。
その中でこれらがかろうじて記憶に残っているのには相応の理由があるのではないか。
人々を熱狂させるストーリーがあったのだろう。
労働の尊重、失業の解消、社会の電化など、このお金によって世界が変革できるという熱狂を植えつけたから、一時的にせよ注目を浴びたのだ。

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