バフェットとマスクの間を流れる堀

ウォーレン・バフェット氏とTeslaのイーロン・マスクCEOが奇妙な論争を続けている。
噛み合うはずのない議論には、2つの典型的な投資スタイルの違いが表れている。


「そもそも『堀』では十分じゃない。」Bloomberg報)

始まりは2日、Teslaの決算発表でのマスク氏の発言だった。
決算発表で、同社のある技術が「戦略上の堀」となりえるかとの質問が出たのだ。
戦略上の堀とはバフェット氏が企業の圧倒的な優位性を保つ源泉を指して使う言葉だ。

マスク氏が戦っている分野について「十分じゃない」という答えは間違いではない。
しかし、この日マスク氏は少々一般論で語り過ぎたようだ。

「堀というのはある種、古風で廃れたやり方だ。
敵の侵入を掘だけで防御するとなれば、長くは持たない。
大切なのはイノベーションのスピードだ。
それこそ基本的な競争力の決定要因だ。」

この発言を聞きつけたバークシャー・ハザウェイの株主が、5日の株主総会でバフェット氏に見解を問うている。

「イーロンはいくつかの分野を取り違えているんだろう。
私は、彼がキャンディの商売をしたいとは思わない。
いくつかかなりいい堀があるからね。」Bloomberg報)

マスク氏が手掛ける分野とバフェット氏が手掛ける分野では事業の特性が異なることを指摘している。
マスク氏はアーリー・ステージからのベンチャーであり、グロースである。
対してバフェット氏は成熟した市場でのバリュー投資だ。


ところがこの理に適った指摘に、勝気のマスク氏がツイッターで反応する。

「キャンディ会社を始めようと思う。
すごいことになるぞ。

私は極めて真剣だ。」

マスク氏の悪ふざけが始まる。

「わかった、議論のために教えてくれ。
どんなキャンディがほしい?

仮想キャンディー。

そして、私は堀を掘って、キャンディで満たす。
ウォーレン・バフェットも投資せずにはいられない。
バークシャー・ハザウェイ・クリプトナイト・・・」

ここで鬼才に反省の色が見え始める。

「自爆してる lol

キャンディの世界でウォーレン・バフェットは巨人だ。
それは事実だ。」

そして、最後に遅ればせながら同じ土俵で話を始めている。

「『堀』というのは、単に寡占をすてきな言い方で言っているだけのように聞こえる。」

堀というのは寡占だけではないだろうが、寡占も立派な堀の源泉だろう。
この一連のツイートを聞いたバフェット氏はCNBCでさも関心なさげにコメントしている。
古くからの投資先コカコーラを例に、例えば強力なブランドが堀であることを説明している。

「誰かが『(コーラを)2セント安く売る』とか『誰か有名人の名前をつけた』と言ったところで実際には・・・
これは米国で15-20年前にVirgin ColaのRichard Bransonが試したことだ。
他にも無数の会社が試したことだ。」


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