Hayman Capital ManagementのKyle Bass氏が、インフレ時代の投資の注意点を語った。
インフレの時代には名目と実質の数字を整理して考えることが大切と説いている。
現在は教科書が答を教えてくれない興味深い世界だ。
バス氏がFox Businessで世界経済をこう評した。
サブプライム/リーマン危機を予想し的中させ名を上げたバス氏はグローバル・マクロの旗手。
極めて素朴かつ単純な論理で大きな獲物に食らいつき、たまにホームランを放つ。
バス氏を世に出したリーマン危機はまだ終わっていない。
極端な経済政策がまだ世界中で続いている。
いち早く脱出を図ろうとしていた米国もまた別の極端に走り始めた。
「今後12か月にわたり米減税は3,500億ドルもの経済刺激を与えることになる。
2019年初めに向けて、かなり後ろに寄った施策だが、完全雇用の中で刺激策を講じようとしている。
そのため、わが社は米国がインフレに向かい、賃金上昇に向かうと予想している。」
米国がすでに温まった経済に火をくべる中、出遅れる諸外国にはまだ油が溢れ、さらに注がれている。
バス氏は世界のマネー・サプライ(M2)対GDP比率が歴史上最大の110%となっている点を指摘する。
過去100年で見れば、この比率は30-50%だったという。
そして、これが意図せざる結果を生んだ。
「富の格差が広がっている。
そして、技能を持った労働者層で完全雇用が実現している。
そしておそらく、中国・東南アジアに職を奪われた工場労働者が永遠に失業している。」
こうした現象に経済学は十分な答を与えてくれない。
それがポピュリストの台頭を許している。
バス氏は世界的なインフレ、あるいはスタグフレーションの時代がやってくると予想する。
「国境の壁や各国の財政政策で隔離されたものとはならない。
その性格からして世界的なものになる。
私たちはとても長い間こうしたことを経験してこなかった。」
株式をショートするべきかと尋ねられ、バス氏は得策でないと答えている。
世界にマネーがあまりにも溢れており、それが愚かな投資行動を促しているからだ。
イエス・キリストの絵画をダビンチ作の可能性があるというだけで、アラブの富豪が4.5億ドル(約490億円)で買ったという。
もしかしたら名目成長率は上昇するのに、実質成長率は横ばいかもしれない。
そうしたインフレの時期には、株式は約75%(インフレの)数字についていく。
だから、株式を空売りしろとは言わない。
バス氏は、今のような難しい経済環境では、投資先を厳選すべきで、市場全体をショートすべきではないと説いている。