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【輪郭】金利と株価は順相関?逆相関?

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株式のブル派の中には、金利上昇を経済が強い証拠だとして株高を予想する人がいる。
しかし、同じ人がついこの前まで《低金利なんだから株高で当たり前》と言っていたなら、眉に唾をたっぷりつけて聞くべきだ。(浜町SCI)


もちろん、これら2つの命題は厳密な意味で相反するものではないのかもしれない。
しかし、厳密な前提を示さずにただただひたすら強気予想を述べる人を信頼してはいけない。
逆に、厳密な前提がきちんと提示されている場合、その意見は強気であれ弱気であれ傾聴に値するものだ。

最近、相次いで金利と株価に対する記事やコラムを目にする。
市場が一本調子の上げを続けていた時期には投資分散さえ(結果的には)必要なかったが、上げ下げのある相場になると分散投資が見直されてくる。
最も単純には株式と債券をほどよいミックスで持っておこうということになる。
そこには、株価と債券価格が逆に動いてくれれば好都合、といった願望が込められている。
換言すれば、株価と金利が順相関ならありがたいということだ。
もし順相関ならば、株価が下落する時、金利も下落し、債券価格は上昇することになる。
つまり、株価下落分を債券価格上昇分で和らげることができるわけだ。

金利と株価が逆相関に転じたとする主張

しかし、こうしたシナリオは一般論で言えば願望にすぎない。
株価と金利が順相関(株価と債券価格が逆相関)である保証はないからだ。
この点について2つ最近の記事を紹介しよう。

Bloomberg(2月20日)はJPMorgan Asset Managementが株価と債券の順相関を注意喚起していると伝えている。

「インフレ期待の上昇と利回り上昇の間接効果のため、リスク・オフのイベントが起こっても債券(価格)上昇が起こりにくくなっている。
・・・
こうしたリフレ環境では、株式と債券の相関は上昇しやすく、投資家が双方を保有する分散のメリットが減ってしまう。

過去25年、相関が正に転じた主たる期間は、FRB引き締め期か、金融政策が2013年のtaper tantram(バーナンキ・ショック)のような流動性イベントを引き起こした頃だ。
現在のリフレ環境では、景気循環を増幅するような財政刺激策が講じられており、純粋な経済成長ショックでもない限り、債券に持続的な分散のメリットを予想しがたい。」


金融環境が(意図されたものか否かにかかわらず)引き締め的になると、株価・債券価格が順相関になりやすく、分散効果が得られなくなってしまうという話であり、現在がそれに該当するとの見方である。

金利と株価が順相関に転じたとする主張

Reutersはコラム(2月17日)で、こうした現象の理論的な背景の解説を試みている。

「金利が上昇する環境はしばしば株式にはマイナスとされる。
借入コスト上昇が経済と企業収益の成長を鈍化させ、ポートフォリオ・マネージャーに株式から債券への切り替えを促すからだ。」

金利上昇(債券下落)が株式にマイナスとは、株式・債券の順相関の場合の話である。
株式・債券が順相関するとの考えは、現在価値の概念の分母(割引率)に着目したアイデアだ。
言い換えると、金融相場を連想させるアイデアだ。

「しかし、エコノミストは、歴史的には、株価と債券利回りがしばしば同方向に動き、成長が速まった経済で顕著だと主張する。
高い成長率とインフレはフィクスト・インカムに対する投資家の心配を煽り、家計債務の実質ベースでの減少と企業の価格決定力・利ざやの向上によって消費を下支えする。」

こちらは株価と金利が同方向、つまり株式と債券が逆相関の場合の話だ。
こちらは、現在価値の概念の分子(キャッシュイン)に着目したアイデアになっている。
言い換えると、業績相場を連想させるアイデアだ。

Reutersは、先月の市場の混乱の中、株式・債券の相関関係が順相関から逆相関に転換した可能性があると示唆している。
株価と債券価格が逆相関とは、株価と金利が順相関というケースである。

興味深いのは、両方の記事が異なる方向性を示唆している点だ。
これは、相関を測る期間の長さの違いによるものと思われる。
実はこれこそ、株式と債券(または金利)の相関を語る上での急所の1つである。

(次ページ: 米国株・米国債の相関関係)


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