ブリッジウォーター:全体像を見ないと間違える

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2月の世界市場の調整では、混乱した投資家が市場の方向性を見定めようと貪欲にカリスマ投資家の言を読み漁った。
そこで最も注目を浴びたのがBridgewater AssociatesのRay Dalio氏だった。


「私たちの考え方は、すべての市場を対象とし、すべての金融商品を通して投資するというもの。
開示された情報は、開示義務に従って、全市場の全商品のうちのごくごく一部を表すにすぎない。」

ブリッジウォーターの投資情報部門責任者Karen Karniol-Tambour氏がBloombergで語った。
ヘッジ・ファンドの開示義務は市場ごとのルールで定められている。
例えば、米国の13Fではロング・ポジションの開示のみが求められているが、EUではショート・ポジションの開示のみが求められている。
報告義務を課す目的が違うためにこうした違いが出てくる。

ヘッジ・ファンドとはロングとショートを組み合わせてヘッジを効かせながらリターンをとる営みだから、ロングだけ・ショートだけの情報を見ても全体像から程遠いということになる。
それなのに、歯欠けの情報からポジションに込められた考えを読み取ろうとすれば、大きな誤解も十分に起こりうる。
Karniol-Tambour氏は、先月来のメディアの解釈が極めて誤解を招きやすいものだったと指摘している。

「容易にわかることだが、皆さんが見ているのはとても薄い一切れにすぎず、全体のポジションを反映していない。
しばしば、たった一回の取引であることさえある。
みなさんは、私たちの本当の考えを誤解させるような全体像を見ている。」

ここで2月に起こった誤解の連鎖を復習しよう。


1月下旬 ダリオ氏が、市場は噴き上がるとして、現金保有が不利になると予想
 終わり 米市場をはじめとして世界市場が調整入り
2月初め ダリオ氏が、近日の下落を無視してよい調整とコメント
 上旬 ブリッジウォーターが欧州株ショートを開示
 中旬 ダリオ氏が 18-24か月のうちに不況入りするリスクに言及
開示から昨年第4四半期に新興国ETFを売っていたと判明
1月から欧州株・日本株のショートを始めたとの消息筋の話
 下旬 ダリオ氏が、ブリッジウォーターのポジションが誤解されていると発言
今はまだバブル前と明言
3月上旬 ダリオ氏が、現在は景気サイクル終わりから1-2年前と発言

なんとまあ、いいタイミングで誤解を招くような現象・発言が相次いでしまったわけだ。
ダリオ氏は一貫して、まだバブル前との認識のようだが、1月下旬の頃から比べると、同氏の時計は少し進んだように見える。

「最近の刺激策・経済成長・賃金の加速は、私が考えていたより(景気)サイクルが少し先に進んでいることを示唆している。」

ダリオ氏の2月12日付SNS記事の一文である。
現時点でのダリオ氏の予想は、最短で1年後の不況入りである。


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