ロバート・シラー:関税、貿易戦争、大恐慌、大戦

ロバート・シラー教授が、トランプ政権の鉄鋼・アルミへの関税導入について完全なるダメ出しをした。
同政策が大恐慌や第2次世界大戦につながった1930年スムート・ホーリー法と似た性格を持っている点を心配している。


ほとんどの人にとって、これは1776年のアダム・スミスに戻ることを意味する。
ほとんどの人が損をする。

シラー教授はCNBCで語った。
1776年とはスミスが『国富論』を著し、アメリカが独立宣言を行った年だ。
シラー教授は、スミスが厳しく批判した重商主義的論理を語っている:

「ワインをポルトガルから輸入するのは英国人にとってすばらしいアイデアだ。
しかし、ワインに大幅な関税がかかると、輸入では割が合わなくなってしまう。
そこで、英国でワインを作ろうという話になる。
でも、気候が適していないのでうまくいかない。
これが関税の作用だ。
生産が非効率なところで行われる。
ひどいワインを飲まなければいけなくなる。」

自由貿易が進み、リカードの比較優位説が成り立っている世界では、生産は最も効率的な場所で行われている。
そこに関税を導入し自由貿易を害すれば、効率的な分業体制を歪め、短期的な混乱も引き起こすとシラー教授は解説する。


誰のための政策?

さらに、シラー教授は厳しい目でチクリとやっている。

これは一部の人を助ける。
特に製鉄株を持っている人は、製鉄株が上がって得をするかもしれない。

政権は誰のために政治を行っているのか。
なぜ、鉄鋼とアルミなのか。
パリ協定離脱は大口献金者Koch家のためと言われている。
今度の鉄鋼とアルミはいったい誰のためなのか。
シラー教授は、ブッシュ政権下での似た取り組みを挙げ、鉄鋼業に従事する労働者の助けにはあまりならなかったと紹介している。

シラー教授は関税がない、あるいは低いことは世界に繁栄をもたらすと断言する。

「1930年スムート・ホーリー法以来、関税は低下してきた。
これは概して米国だけでなく世界中にとって繁栄の一部なんだ。
関税を引き下げることは、世界全体の秩序を守り、格差を緩和する助けになるんだ。」

自由貿易は一国の中での格差を一部拡大することがある。
一方で、それよりはるかに過酷な先進国=途上国間の格差を縮める効果がある。

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