ジム・チャノス:変わるなら大きく変わる

息の長い空売りで有名なKynikos AssociatesのJim Chanos氏が、経済の大局を振り返っている。
慎重な物言いながらも、人生で一度だけの金利低下局面が反転し始めたと示唆している。


「私のような老人を除けば、ウォール街の人たちは高金利や金利上昇が持続するのを経験したことがない。
変化が起これば、大きく変化する。」

チャノス氏はBusiness Insiderで、市場が金利上昇に対してあまりにも不慣れなことを心配している。
米金利は35年に及ぶ超長期の低下局面を終えつつあり、ついに転換する兆しが見えている。
金利低下とはディスカウンテッド・キャッシュフローの分母を小さくしてくれる現象だ。
結果、債券だろうが不動産・株式だろうが、資産価格に上昇圧力を加えてくれる。

米長期金利(青、左)と米株価(赤、右、自然対数)

35年という長い年月は狩猟民族のすみかウォール街の世代交代にとっては十分長い時間だった。
一部の年寄りを除けば、今や金利上昇を知らない世代ばかりだ。
それだけではない。
過去35年の金融市場が継続的金利低下の恩恵というゲタを履かせてもらっていたことに気づいてさえいない可能性が高い。


チャノス氏は、金利低下が14%から始まったと記憶している。
再び金利が同程度まで上昇し、そこから長い年月の低下を始めることはないだろうし、あったとしても相当な時間を要するだろう。
チャノス氏はこれまでの金利低下局面を「人生に一度しかない金利変動」とし、「もう二度と繰り返さない」と話している。
さらに、金利の反転が今起こっているのかどうかは、判断にまだ時間が要ると慎重だ。
ただし、金利が上昇しない限り解消できない歪みが発生していると指摘する。

「ギリシャが米国より安い2年金利で借金しているのは少々ばかげている。
だから、クレジット市場では少々困ったことが起こっている。」

先進各国の非伝統的金融緩和は世界中でカネ余りを助長した。
また、欧州の統一通貨は、信用力の劣る国の資金調達に一役買っている。
結果、信用力の劣る債券の利回りが、信用力の高い債券のそれと逆転してしまっている。
さらに、問題は比較対象となっている米国債の利回りの方にも存在する。

「米10年債利回りは3%に近いところまで来ている。
しかし、現在の名目成長率に基づけば、CPIが上がろうが上がるまいが、10年金利は4%を超えているはずだ。
だから、米国は依然として極めて緩和的な環境にある。」

アトランタ連銀GDPNowによる2月16日付の1Qの実質GDP成長率予想は3.2%。
米国の基調的物価上昇率が2%に向かっているとするなら、足元の名目長期金利は5%であってもおかしくない。
ところが、現実の長期金利はいまだ3%の手前だ。
チャノス氏はまだわからないと言うが、やはり金利が上昇に向かう材料はたくさんあるようだ。


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