エラリアン:インフレは制御されている

独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が、近時の市場の混乱を解説している。
その解説ぶりが、他のエコノミスト・市場関係者らと比べてかなり楽観に満ちているのが気にかかる。

「市場は予想以上の雇用創出に驚き、賃金を見て『おお回復した』と考えた。
これは経済にはいいことだが、過去見てきたこととは異なっていた。
さらに、フィクスト・インカム市場、債券市場が反応し、利回りが大幅に上昇した。」


エラリアン氏はPOLITICOに対し、近時の市場の混乱について解説した。
過去数年、米市場はゴルディロックス経済に助けられてきた。
経済が奮わなければ金融緩和が強まり、株価は下がるのではなく押し上げられてきた。
経済が上向きFRBが金融政策正常化を語ると、逆に経済・市場が弱気で反応した。
その帰結は金融政策正常化の鈍化であり、それが市場にプラスと受け止められてきた。
ところが、いよいよ経済が回復色を深めると「過去見てきたこととは異なって」いき、ついにゴルディロックスが終わりそうだとの印象が強まったのだ。
そうなれば、ゴルディロックスで伸びきった市場はどうなるか、誰もが心配を始める。

「米国は、実質的に金融市場にボラティリティが全くない状態から脱した。
昨年だけを見ても、史上最低のボラティリティ7つのうち6つを記録している。
株式市場は急速に上昇していたから、テクニカル面の調整、エア・ポケットに陥りやすい状況にあった。」


エラリアン氏は、他のエコノミスト・市場関係者らと比べるとかなり楽観的な見通しを持っているように見える。
経済・市場の期待感・恐怖感を反映した金利上昇は、経済の健全化によるものであり、これは好ましい理由によるものと言う。
しかも、現在の経済回復は厚み・深みのある力強い景気拡大だと太鼓判を押している。

エラリアン氏の楽観は、本格上昇の可能性が語られるインフレに対しても向けられる。
特に債券市場では、減税による財政悪化懸念が大きなインフレ要因として加わったとの見方が多い。
かつての盟友ビル・グロス氏、新債券王ジェフリー・ガンドラック氏、レイ・ダリオ氏など枚挙にいとまがない。
しかし、エラリアン氏はこうした見方には懐疑的だ。

税制改正法案が財政赤字拡大や政府の資金需要増につながるかははっきりしない。
しかし、問題は、それが債務の持続性を害するかにある。
・・・インフレ上昇は、それが制御されている限りにおいて・・・、私は制御されていると考えているが、賃金上昇とともに解決法の一部であって問題の一部ではない。

こうした楽観は、エラリアン氏がFRB副議長候補として噂されていることと関係があるのかもしれない。
この噂が出てから、エラリアン氏の論説は目に見えて優しくなったように感じられる。
本人もまんざらではない様子だ。

「私はいつも公的セクターでの仕事に興味を抱いてきた。
FRBのポジションについて多くの候補とともに自分の名前が挙がっていることを光栄に思っている。」


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