リチャード・クー:あの時代には戻れない

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野村総研のリチャード・クー氏が、新たな時代の経済政策について話している。
金融政策による解決は難しく、生産性向上のためのインフラ支出を提案している。


みんないまだに黄金時代に戻れると考えている。
黄金時代はすばらしい時代だからだ。
マクロ経済学はそう定義しているし、すべての教科書はその時代に書かれている。

クー氏が時代遅れの経済政策に苦言を呈したとFinancial Reviewが伝えている。
先進各国が過去、金融政策に過度に依存してきた点を指摘したもの。

各国の金融政策は、世界金融危機への危機対応としては成果を上げた。
しかし、バランスシート不況に陥った経済は金融政策だけでは救えないとクー氏は主張する。
金融をいくら緩和しても、傷んだバランスシートとトラウマのために、民間セクターがお金を借りて投資・消費をしようとしないためだ。
状況は「大きく変わっている」のに、政府や中央銀行は黄金時代の記憶を引きずり、金融政策にしがみついてきた。


「いまだに2%のインフレ目標を主張している人がいる。
・・・何ごともそんなに強い目標にしてはいけないんだ。」

バランスシート不況に陥った経済では、民間の支出拡大に期待ができない。
そのため、公共セクターが最後の借り手となって支出を行うべきとなる。

「資本収益率が国内より海外の方が高い場合にこの状況が起こる。
それが、借り手不在の問題をはるかに難しくする。」

先進国の企業が国内より新興国に成長機会を求めるのは至極当然のことだ。
しかし、個々の企業が正しい判断をした結果、その国の経済が停滞してしまう。
それを防ぐために政府が財政政策を講じる必要があるとクー氏は説く。
財政政策の効果を最大限に稼ぐため、中でも生産性向上のためのインフラ支出を奨めている。
プロジェクト選定のための独立委員会の設置を提案している。

「資産の市場価格などがしっかりした根拠に基づいていないのではないか。」

クー氏は資産市場への心配を口にする。

「いつもは借り手になる人が、住宅に投資していない。
借りるかもしれないが、その他のことに投資している。」


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