恐怖指数が垣間見せた本当の恐怖

市場の急落とともにシカゴ恐怖指数が急騰したのは周知の事実。
VIXとはそういう定義の指数だから当たり前のことだ。

しかし、その背景にはもっと不思議なことがたくさん隠れていたようだ。


まずは野村證券のNEXT NOTES S&P500 VIXインバースETNの早期償還。
ETNの対象指標であるS&P 500 VIX短期先物インバース日次指数の下落率が20%を超え、早期償還条項が発動されたためだ。
VIXの上昇によりインバース指数が急落、同ETNの価格は1日で9割を超える下落となった。

次に、クレディ・スイス・グループがVelocityShares Daily Inverse VIX Short-Term ETNを償還するというニュースが流れた。
同様の商品性だからある意味自然な話だ。
しかし、問題の深層を感じさせる数字をBloombergが伝えている。

  • シカゴ・オプション取引所の昨年下期の収入の1/4はVIX関連商品からのもの。
  • クレディ・スイスとプロシェアーズの2つのファンドが持っていたVIX先物ショート・ポジションは全体の1/3に相当。

意図したものとは思わないが、ずいぶんと集中したものだ。
金融システムを脆弱にする典型的なパターンのように見える。
実際、同取引所自体の株価は6日、過去最大の17%下げている。

なんでこうも集中してしまったのか。
VIXショートのファンドがよく売れたからだろう。


シカゴVIX指数(青)とVelocityShares Daily Inverse VIX Short-Term ETN(赤)
シカゴVIX指数(青)とVelocityShares Daily Inverse VIX Short-Term ETN(赤)

このグラフを見ると事情の想像がつく。
VIXが底を這っている間も、VIXショートのファンドは右肩上がりの上昇を続けていたのだ。
いつかVIXが上昇しファンド価格が下がることがわかっていても、投資家あるいは投機家はリターンを取りにいったのだろう。
まさにロシアン・ルーレットのような投機である。

Bloombergは、15年前ゴールドマン・サックスでVIX指数の改良にあたったDevesh Shah氏にインタビューしている。
リテイル向けにレバレッジのかかったVIXショート・ファンドが販売されてきたことについてこう話している。

大胆に想像する限り、私はなんでこういう商品が存在するのか理解できない。
誰が恩恵を受けるのか?

シャー氏は、ギャンブルをしたいならこうしたファンドでギャンブルできただろうと認める。
しかし、結果を見るかぎり、大部分の参加者にとって厳しい結果となっただろうと推測する。
シャー氏はこうした商品の販売は止まらないと話す。

「何か他のものが出てくるのだろう。
ビットコインのようなものだ。」

ギャンブルをしたいという人間のサガが、こうした商品を求めている。
中央銀行は伝統的金融商品からギャンブルの要素を奪ってきた。
それが、ギャンブルへの熱望を偏在させる一因となっている。


 - 投資