ケネス・ロゴフ:経済成長で困る国

ハーバード大学Kenneth Rogoff教授が、金融危機再発の可能性について尋ねられている。
確率は低いと答えた教授だが、よくよく聞くと少しも喜べない話のようだ。


「中国を除けば低い。」

金融危機が再発する可能性を尋ねられて、ロゴフ教授はBusiness Insiderに答えた。
教授が例外とした中国について世間では『今回は違う』というストーリーが語られているという。
しかし、依然として中国では住宅価格は高水準にあり債務水準も高い。
金融危機であるかどうかは別として、現状からの脱却がそう容易であるはずもない。

「中国は大きな組織で、素早く動け、問題を踏み消すことができるから『違う』という。
しかし、私は中国が大きな混乱なく成長を維持し続けるのは難しいと考えている。」

中国以外での危機の確率は低いと言ったロゴフ教授だが、金利上昇には警戒感を示す。
今年、米インフレが2%目標を達成すると考えているからだ。
経済が好調な中インフレが目標達成となれば、金融政策正常化のハードルは低くなる。
そこで要注意なのはFRBのバランスシート縮小ではなくFF金利引き上げだと教授は言う。

「QE巻き戻しはイベントではない。
観衆がQEを知らなければ、知りたくなければ、実際にはどちらの方向にも大きく作用するものではない。
心配すべきなのは利上げなんだ。」


ロゴフ教授は、量的緩和と長期金利の間に直接の関係はないと考えているようだ。
市場の期待が影響を受けなければ、マネタリー・ベースの量には意味がないと考えているのであろう。

では、どのような金利上昇がどのような問題を引き起こすと考えているのだろう。

金利上昇が市場の織り込みより速ければ、それはFRB・ECBが間違っているからでなく、おそらく欧米の経済が成長を速め、投資を始めたからだ。
それは経済成長にとってはいいことだ。
しかし、成長率がそれほどでもなく債務の多いイタリア、おそらく日本は問題を抱えることになる。
明らかに株式市場は下落の可能性がある。

ロゴフ教授は、金利上昇が進めば過剰債務国の財政と経済に問題が及ぶと考えている。
さらに、米国についても例外ではないという。

「不況となると話は別だ。
2018年に不況が来る確率が15-20%はある。」

ロゴフ教授はワースト・シナリオを語る。
(予想するわけではないが)たとえば株式市場が20%下げれば、トランプ大統領がFRBにプレッシャーをかけるのではないか。
雇用とインフレを重視し株式市場には関心の薄いFRBは、意に介せず利上げを続けようとするかもしれない。
そこで、中央銀行の独立性が危うくなる。
これこそが本当に怖いシナリオなのだという。


 - 国内経済, 海外経済 , ,