ビル・グロス:債券でリターンが出ない年に

債券王ビル・グロス氏が、FRB利上げ、インフレ上昇、金利上昇を予想している。
この結果、短期的に(特にデュレーションの長い)債券に逆風の環境が続くと話した。


「FRBは利上げを続けるだろう。」

昨日発表の米雇用統計の結果をうけ、グロス氏はBloombergで語った。
1月の雇用統計は特に平均時給が大きな伸びを示した。

  • 非農業部門就業者数: 前月比200千人増(市場予想の180千人増)
  • 失業率: 4.1%(前月比横ばい)
  • 平均時給: 前年比2.9%増(2009年以来高水準)

これは、市場のインフレ期待を押し上げる。
先行きのインフレが上昇するとなれば、FRBは金融政策正常化を進めやすくなる。
グロス氏は、パウエル新議長の下でFRBがゼロ%の実質FF金利を目指すと推測する。
仮に半年後に2%のインフレ率なら2%の名目FF金利となり、これは2回の利上げを意味する。
グロス氏は、今年3回以上の利上げを予想している市場との間にずれがあることを指摘している。

グロス氏は、市場で心配されたイールド・カーブの逆ざや化については、早いうちから可能性が低いと方向転換していた。
より大きなリスクがインフレや金利の上昇にあると感じたからだ。

米10年-2年スプレッド(青)と米10年債利回り(赤)
米10年-2年スプレッド(青)と米10年債利回り(赤)


米10年-2年スプレッド(青)と米10年債利回り(赤)(最近1年)
米10年-2年スプレッド(青)と米10年債利回り(赤)(1年)

実際、最近の長期金利上昇で、逆ざや化のリスクは小さくなっているように見える。

「今回に関する限り、FRBが望むようにインフレが上昇しつつあり、長期国債の方が短期金利よりインフレに影響されやすい。
今回のサイクルが比較的穏やかなものになると予想するため、イールド・カーブは傾斜がきつくはないものの右肩上がりにとどまるのではないか。
10年-2年スプレッドは45-50ベーシス程度でフラット化はしないだろう。」

イールド・カーブのフラット化は起こらなくても、債券利回りの上昇は起こる。
これは、債券投資にとっては逆風だ。

米10年債利回り
米10年債利回り

最近の米長期金利上昇は、これが一時的なものでなければ、決してグロス氏の言うような「穏やか」というペースではない。
グロス氏自身が先月末、長期金利が3%になればレバレッジのかかった経済にインパクトを与えると予想していた。
グロス氏は、今年が債券投資にとって忍耐の年になると認めている。

「月ごとに見れば、過去2-3か月、債券投資家は損をしているだろう。
投資家は損をしたくないから、現金保有の方がいいといってタンス預金している。
短期的に言えば、2018年は債券投資家にとって(トータル)リターンが上がらないと覚悟すべきだ。」

このためグロス氏は自身が運用するアンコンストレインド・ファンドについて、デュレーションの短期化などを講じているという。


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