リチャード・クー氏:古き「バランスシート不況」

野村総研のリチャード・クー氏によるトランプ減税に対する評価について、Fincial Timesがやや批判的に伝えている。
クー氏が、法人減税を先進国が選択すべき正しい政策と書いたためだ。


野村のリチャード・クーはもっと必要だと考えているようだ。
・・・
私たちは最近の彼のレポートを読んで驚いた。
そこでは、古き『バランスシート不況』の制約が寛大な法人減税によって克服できると論じられている。

結果的にトランプ減税を絶賛した内容となっており、リベラルで理屈っぽくトランプ嫌いなFTにとっては意外なものだったようだ。

バランスシート不況とはバブル崩壊後に発生する特殊な不況だ。
民間セクターがデレバレッジのために借金を返済し貯蓄を増やすために、民間需要が減退し、不況に落ち込むことを指している。
この不況に陥った場合、それが終わるまで民間需要の落ち込みを財政支出で補うべきというのがクー氏の一貫した主張だ。
そして、そのクー氏が最近のレポートでこう書いている。


「トランプ大統領の大幅な連邦法人税率引き下げは、まさしく追われる側の国で必要とされるアプローチだ。
・・・
大幅法人減税は米国における20年間の低い投資率・低い生産性の伸び・低い賃金上昇を反転させるのに極めて効果的な方法だ。」

クー氏は米国を追われる側の国(先進国)に分類し、理由を述べている。

  • 追われる側の国では投資収益率が逓減し、新興国等より見劣りしてしまう。
  • 企業はより投資収益率の高い国外での投資案件を選択することになる。
  • これが投資不足をもたらし、生産性向上と賃金上昇を妨げる。

「これこそ、追われる側の国が投資を増やしたいと望むなら、国内リターンを改善させるべき理由だ。
法人税率引き下げはその目的を達成するのに極めて有効な手段だ。」

クー氏の主張にいつも共通するのは、財政悪化に対する説得力のある歯止めを示さないことだ。
お金があるなら減税もインフラ支出もやればよい。
FT記事が「古き『バランスシート不況』」と書いたのも、揶揄する意図があってのことだろう。
もうそのバズ・ワードは時代遅れと言いたいのだ。

もっとも、クー氏は決してトランプ減税を絶賛しているわけではない。
最近のインタビューでは、歳出拡大の方が減税より、より経済を刺激すると話している。


 - 海外経済