グリーンスパン:双子のバブルとスタグフレーション

アラン・グリーンスパン元FRB議長が、米財政悪化の引き起こすインフレ上昇・金利上昇を警告した。
米国は停滞の時代を脱し、さらに深刻なスタグフレーションの時代に入りかねないという。

「現在2つのバブルが存在する。
株式市場のバブルと債券市場のバブルだ。」


グリーンスパン氏はBloomberg番組で、株式と債券、両方の市場がバブル状態にあると語った。
かつてはバブルの所在を債券と語っていたから、ついにその影響がリスク資産にまで拡大したことになる。
ただし、グリーンスパン氏はやはり債券市場がより根源的な重要性を持つものと考えているようだ。

「最終的には、債券市場のバブルが重大な問題になるだろう。
短期的にはそれほど悪くはないが、米国は明らかに長期金利を大きく上昇させるようなことをしている。
これは経済全体に重大な影響を及ぼす。」

グリーンスパン氏は、バブルの根源が拡大する米財政赤字にあると指摘する。

「米国の政府債務対GDP比率は第2次大戦中のピークを追い抜こうとしている。
これは異常なほど高い。
これが十分に注目されていない。」

トランプ政権の初年度の最大の手柄とされる大型減税には、十分な財源の手当てがなかった。
政府の財政悪化は避けられない。
さらに、来年度以降、大統領の言うようなインフラ支出が検討・実施されるなら、財政はさらに痛みかねない。
グリーンスパン氏は、米国が長く財政的に不安定なインフレの時代を迎えると予想している。

「私は昨日の(トランプ大統領の)一般教書演説を聞いていて驚いた。
すべての新たな施策には財源の裏付けがなく、米国はインフレ昂進への臨界点に達しつつある。
時間の問題だ。」


グリーンスパン氏は、米国が過去10年近い停滞の時代から、停滞とインフレが共存するスタグフレーションの時代にに移行しつつあると話した。
グリーンスパン氏と言えばグリーンスパン・プットという言葉から連想されるように、リスク資産市場に有利な政策をとり続けたとの記憶がある。
資産効果を利用し続けた結果、資産バブルを招いたとの批判も多い。
しかし、本人の方は最近では盛んに政府の財政問題に言及している。
実は、FRB議長在任中も、政府に対し強く財政再建を促していた。

もしかすると、グリーンスパン時代の緩和的政策の原因は、資産効果頼みの思考だけではないのかもしれない。
もしかすると、その頃からFRBは財政従属に陥っていたのかもしれない。
仮にそうだとすれば、財政悪化がさらに進む中での金融政策正常化は、現状考えられている以上にインパクトのあることなのかもしれない。

さて、グリーンスパン氏は、この数年議論の的になっているフィリップス曲線についてもコメントしている。
この10年間のリフレ政策では、金融緩和で失業率を押し下げれば賃上げが起こり、それがインフレに転化するとのロジックが語られてきた。
しかし、これまでのところそれが起こっていない。
グリーンスパン氏は、こうしたことは今始まったことではないとし、自分はフィリップス曲線を信じたことは一度もないと言い切った。

1990年代にフィリップス曲線について大きな議論があった。・・・
失業率が低下しているのに、当時は生産性が加速していたために単位労働コストが変わらなかった。
この時期、フィリップス曲線が働かなかった。
フィリップス曲線は一定の生産性向上を仮定しており、これは世界の現状とは異なっている。


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