バイロン・ウィーン:すり合わない株価と金利

Blackstone Advisory PartnersのByron R. Wien氏による2月の市場コメンタリーは、先月発表した今年の「10のサプライズ」の詳説だ。
その内容を見ると、株の強気サプライズと債券の弱気サプライズの間には整合性がないことがわかる。


「私の配当割引モデルでは、企業収益と金利に関する計算式に基づいて債券と株式の魅力が等しくなる様々なポイントが表として表されている。
このモデルによれば、現状の債券利回り2.5%(当時)とS&P 500の利益予想150ドルから計算される均衡点はS&P 500指数3,200となる。」

ウィーン氏が、年末のS&P 500予想を3,000超とした種明かしをしている。
金利はさらに上昇すると予想していたから3,200でなく3,000超としたのであろう。
ウィーン氏の予想法は債券と株価の相対価格という考えを取っている。
結果、債券価格(またはそれに対応する金利)が動けば株価予想も動くという建付けだ。
独立変数として置かれている長期金利2.5%という数字が企業収益と同様に重要になってくる。
実際のところ、長期金利はすでに2.7%を付けるところまで上昇している。
これは、均衡株価を押し下げることになる。

では、この長期金利に対する予想に妥当性はあるのか。
ウィーン氏は「10のサプライズ」で、FRBが年内に4回利上げし米長期金利は4%に向かうと書いていた。
これを見るかぎり、株価予想と金利予想に整合性を持たせていない様子がうかがわれる。
さすがに3%を超え4%に向かうなら、3,200を大幅に下回ると推測されるからだ。
どちらが正しいのか、金利を予想する上で重要な要素であるインフレの予想から見直してみよう。
ウィーン氏は、現状インフレに大きな影響を与えている3つの要因を挙げる:


  • 労働市場: 賃金上昇の兆し
  • コモディティ市場: 上昇中
  • 不動産市場: 高値圏にあるが安定

ウィーン氏はこれらの中で、賃金が最も優れた先行指標だと書いている。

「今は年率2.5%で上昇している。
平均時給が前年同期比で4%上昇に近づいたら心配し始めた方がいい。」

ウィーン氏は実際に4%に近づきCPI上昇率は3%を超えると予想している。
これはFRBの2%物価目標をかなりオーバーシュートしている。
そこで、年4回の利上げ予想となる。

「インフレを制御するために、FRBは引き締め的になるだろう。
3%超の経済成長なら短期金利上昇に耐えうると考えるからだ。」

ウィーン氏は、4回利上げ後のFF金利2.5%でもまだ過去を比べれば低い水準だと指摘している。
この2.5%とは、S&P 500の3,200を正当化する長期金利と同じ水準だ。
イールド・カーブがフラットまたは逆ざやにならないかぎり、長期金利は2.5%を超えてしまう。
実際、ウィーン氏の長期金利予想は3%を大きく超えて4%に向かうというものだ。

「多くの債券投資家が米10年債利回りが3%に達すると予想している。
しかし、私の経験から言えば(上昇)トレンドがいったん出来上がると当初の傾向よりはるかに遠いところに達するものだ。」

これをゴルディロックスと言えるかどうか。
それが今年のテーマなのかもしれない。


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