クルーグマン:米潜在成長率1.5%の根拠

トランプ大統領からフェイク・ニュース大賞に選ばれても、ポール・クルーグマン教授の心が折れることはない。
28日も卓越した想像力でデータの相関を見出し、トランプ政権批判を繰り広げている。


米失業者をさほど多く職場に戻せていないことを考えれば、それほど高くもない経済成長にもかかわらず失業率が低下している事実は、先行きの経済成長がはるかに鈍化する兆しである。

クルーグマン教授がThe New York Times上のブログで結論した。
トランプ大統領が足元の経済・市場の改善を声高に自身の手柄としていることについて誤りと指摘したものだ。

割れるトランポノミクスへの評価

政権の経済政策に対する評価は割れている。
一時的でも経済が改善すれば(一歩として)評価すべきとプラス評価する人もいる。
一方で、経済が改善していた時にさらに減税を行ったことについて、政策効果・財政悪化の面から批判する人も多い。
前者は精神論・組織論的な議論であり、後者は経済学的な議論だ。
そして、多くの人に共通しているのは、足元の経済の好調をトランプ大統領の手柄とするのは少々ずうずうしいということだろう。
大統領が経済に及ぼしたのは《期待》であって、実際の効果はこれから現れると考える人が多いからだ。
《期待》醸成を評価しないと言えば片手落ちだろうが、自分の手柄と主張するのもずうずうしすぎるというものだ。


無駄撃ちの経済政策

さて、クルーグマン教授のロジックはこうだ。

  • 成長率は変動するものだから、一時の上昇を自分の手柄にすべきでない。
  • 変動するのは景気が循環するからだ。
  • 米国は完全雇用に近い(=失業率はこれ以上大きくは下がらない)。
  • オークンの法則によれば経済成長率もこれ以上大きくは上がらない。

1点補足すると、オークンの法則とは「失業率(まだ利用されていない労働力)と短期的な経済成長の間の」負の相関のことだ。
失業率の低下と短期的な経済成長率上昇が同時に起こるという話である。
現在の米国に照らして考えると、すでに完全雇用に近く、これ以上の失業率の下げ余地が小さいため、経済成長は頭打ちになるだろうという推論になる。
これは、米国のみならず日本についても広く言われていることだ。
そのロジックについて反対するつもりはない。
(結論については蓋を開けてみなければわからない。)

(次ページ: 教授を無理筋に走らせたワケ)


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