榊原英資教授:ドル円は年末100円へ

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ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授が為替相場、金融政策、貿易戦争、現在のリスク要因について語っている。
教授によれば、日銀の金融政策正常化はまだまだだいぶ先の話のようだ。


ドル円は年末に100円に向かうと予想している。
ドルは緩やかに下落し、円も緩やかに上昇する。

榊原教授がBloombergにドル円の予想を語っている。
米ドルの側では、目下絶好調を続ける経済・株価が夏から年末にかけてピークを打ち、ドル安が進むと言う。
円の側では変化が始まっており、円高の傾向が見えると言う。

「黒田総裁も今の緩やかな円高をさほど心配していないだろう。」

榊原教授によれば、100-105円程度の水準なら日本経済にとって大きな問題にはならないという。
90円、80円になれば問題としながら、今のところ心配はしていないと話した。
すでに日本の主要企業は過度に輸出に依存していないとし、生産の海外移転が進んでいることを説明した。
海外生産を進める日本企業は(海外で生産し国内で売り上げる分について)輸入企業となる。
教授は、海外移転が進んだ企業にとって、円高はマイナスというよりプラスだと解説した。

榊原教授は、通常の状況では為替市場に介入すべきでないとし、介入が適切かつ効果を発揮しうるのは1995年のように極めて異常な場合のみと語った。

榊原教授は、ユーロや人民元についても緩やかな上昇を予想している。
欧州への悲観が消えつつあること、中国の貿易黒字拡大を理由に挙げた。
中国政府は急激な人民元上昇を好まず、元高が急なら政府がブレーキを踏むと予想する。
「中国はたくさんのものを操作しているから、為替も例外ではない」と笑った。


金融緩和の出口は2-3年後以降

話題が日銀の金融政策正常化に及ぶと、榊原教授は日銀総裁人事について話し始めた。
教授は黒田総裁再任を予想している。

「黒田総裁は金融緩和継続の姿勢をまだ1-2年は続けるだろう。
出口について語り始めるのは今から2-3年後で、その頃が彼の引退の時になるかもしれない。」

榊原教授は、戦後の日銀総裁のうち再任したのは2人しかおらず、いずれも再任後2-3年後に引退している点を指摘する。
前例にならうなら、黒田総裁は2020年頃に引退することになると解説した。

米ドルは準備通貨であり続ける

「政府が国際収支をコントロールするのは本当に難しい。」

貿易戦争のリスクについて、榊原教授は実感を述べた。
民間の営みである貿易・投資等々を政府がコントロールするのは至難の業だ。
教授は、トランプ大統領が経常赤字を心配するのは理解できるとしながら、国家間の交渉で解決できるものではないと滲ませる。

「米国は現状の経常赤字に耐えうる状態にある。
米ドルは国際通貨だ。
どんなに赤字が大きくなっても、ドルを刷って支払えばいいし、過去そうしてきた。」

トランプ大統領のダボス会議での講演についてはチクリとやっている。

「貿易のルールを守るのはすばらしいことだが、保護主義に向かうのは別の話だ。」

最大のリスクは中国

榊原教授は、中国の債務問題を心配していないと言う。

「これまで大きな問題となっていないし、中国が望めばコントロールすることが可能だろう。
中国は全体主義の政府であり、本当に債務を減らしたいなら極端な方法もとれる。」

こう話しながらも、日本経済にとっての現在最大のリスクを問われると中国経済と答えている。
中国経済が風邪を引くと、日本経済にうつる可能性が高いからだ。

「日本は安全保障面では米国に近いが、経済面では中国に極めて近い。
だから、日本経済を見通すためには中国経済をよく注視しないといけない。」


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