ロバート・シラー:1928年に似ている

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が1929年・1987年のクラッシュについて話している。
市場が割高になると、暴落するのに理由は要らなくなるのだという。


ある意味、今は1928年に似ている。
カルビン・クーリッジが大統領で、プロ・ビジネス、すべてがよく見え、規制反対。
同じストーリーだ。

シラー教授がYahoo Financeで現状を1928年に喩えた。
大恐慌をもたらしたクラッシュのあった1929年の前年である。
教授は早いうちからトランプ政権がクーリッジ政権の二の舞になることを心配していた。
奇しくも今月、シラーのCAPEレシオは1929年を抜き、史上2番目の高さまで上昇した。

シラーのCAPEレシオ
シラーのCAPEレシオが1929年を抜き史上2番目に

ただし、シラー教授は、今回の株高について大統領の要因は全体の一部にすぎないと言う。
株高はオバマ政権からずっと続いてきたからだ。
教授は、株高の全体像を把握するには社会に流れるナラティブ(物語)を理解することが重要だとし、経済学者がもっとこの点に積極的に取り組むべきと言う。
そして、ナラティブの中でもある不安が人々の経済活動に大きな影響を与えているという。
技術革新が人間の雇用を奪うことへの不安だ。

「それは収入がなくなることを超えて、アイデンティの喪失なんだ。」


こうした不安を抱えた中で、とりわけ若者は後の50-70年の計画を立てなければならない。
不安を抱えて想像もつかない長い年月をどう考えていけるのか。

「すべての意思決定について感情的に色分けをしているのだろう。
だから、株が割高に見えても株式投資に寛容になるんだ。
特にテクノロジー株にね。」

シラー教授は以前から、現在の株高の一因が自動化・ロボット化への不安であると話している。
仕事を奪われる不安に怯え、テクノロジー・セクターに投資することで奪う側に回ろうとしているのだろうという。

理由は違えど1928年も、みんなが割高な株を買い続けていた。

「1928年と言ったのはこのためだ。
たくさんのひとが市場を割高と見ていた。
それがコンセンサスだった。」

投資家は割高と知りつつ、それでも株を買い続けた。
現在、米国株を割高と考える人は多い。
フェア・バリュー以下と考える人は極めて少ない。
みんな割高でもまだ上がると考えている節がある。

教授は1929年の終わり方をこう語る。

「ただ上昇を続けたんだ。
そしてみんなが『いつ調整が来るんだ?』と考え始めた。
それが一因となってついに調整したんだ。」

シラー教授は1987年ブラック・マンデーについても話している。
教授はクラッシュ後1週間もしないうちに投資家に調査を行った。

「ニュース記事を並べて、何が重要かを聞いた。
1987年10月19日に最も重要と考えられていたニュースは、前週の価格下落だった。
それだけ、それが一番重要だった。
それ以外は、どれも重要だとか、人によってバラバラだった。」

飛び抜けて重大なニュースもないのに暴落は起こった。
念のため教授は、バラバラのニュースを選んだ人たちがクラッシュの時にどういう売買を行ったかを尋ねたと言う。
どのニュースを選んだ人たちもたいして変わらない行動をとったのだと言う。
つまり、市場が極端な水準に至ると、その下落にもはやファンダメンタルズなど市場外のイベントは必要なくなるのである。


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