伊藤隆俊教授:日本にインフレは来るか?

次期日銀総裁候補とも噂された伊藤隆敏コロンビア大学教授は、日本のリフレが峠に差し掛かったと指摘している。
あと少し経済が温まればインフレが立ち上がる地点までやってきているという。


「現在の人手不足を考えれば、日本で健全な賃上げスパイラルが起こらないのはミステリーと言える。」

伊藤教授がProject Syndicateで日本の労働市場の不思議を語っている。
経済成長率は回復し、GDPギャップはプラスに転じ、株価は上昇、失業率は歴史的低水準、人手不足が深刻化しているのに賃上げが起こらない。
結果、物価上昇率もコアコアで0.3%と日銀の2%目標から程遠い。
日本の金融・財政政策は日欧と比べて勝るとも劣らない規模だったにもかかわらず、賃上げ・インフレは後塵を拝している。

タカ派vsハト派

伊藤教授は、日銀総裁任期が4月に近づく中、2つの批判が強まっていると解説する。


  • タカ派: 金融刺激策を早期にやめるべき
    日銀のバランスシート拡大を心配し、出口における日銀の財務悪化を懸念する。
    金融政策正常化を可能とするため、物価目標を現行の2%から1%に引き下げろと主張する。
    伊藤教授は、この方法の難点として、円高進行による実体経済への悪影響を挙げている。
  • ハト派: 追加緩和をすべき
    2%目標達成まで金融緩和・財政拡大をともに継続すべきとする。
    伊藤教授は、この方法の難点として、意図的な財政悪化が将来の金融危機のリスクを増すことを指摘している。

強いて言うなら何事にも中間派がいて、今の日銀執行部はそれにあたるのだろう。
ちなみにタカ派は多く存在すると思われるが、物価目標と出口戦略の検討の2点を除けば、現実的な政策手段の繰り回しについては中間派とほぼ同一と言えよう。
ここまで非伝統的金融政策を実行してきた以上、容易に正常化ができないことはすでにコンセンサスだからだ。
ハト派については確かに存在するが、かなり下火になった。
インフレが高まらなくても経済がよくなったこと、欧米が2%達成前に正常化に動いていることが大きく効いているものと思われる。

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