ガンドラック:減税の悪い面が意識されるようになる

新債券王ことDoubleline CapitalのJeffrey Gundlach氏が、米減税案の落とし穴を指摘している。
減税がジャンク債市場を危うくし、増税となる地域ではリスク資産への投資が減退するだろうという。


「税制をいじくりまわすことで意図せざる結果を招くことになるだろう。
一部の企業、一部のセクターに打撃を与えることになる。」


Jeffrey Gundlach: Tax plan could have unintended consequences from CNBC.

ガンドラック氏はCNBCで米税制改革案に潜むリスクについて言及した。
共和党法案に対する同氏の評価は厳しい。
米下院で法案が通過する直前にはヘッジ・ファンドへの優遇が続くこと等を厳しく指摘していた。
その後も経済成長が続く中での減税に合理性はないと斬って捨てている。

税制改革案の1つの意図せざる帰結は、ジャンク債市場でのデフォルトについて新たなナラティブ(物語)が巻き起こることではないか。

減税は債券市場にとっては向かい風だ。
財源なき減税は米財政赤字を拡大し、米国債の市場への供給を増やす。
以前まではFRBが米国債を買い入れてくれていたが、FRBはすでに金融政策正常化のために米国債の再投資を絞り始めている。
米国債市場は緩み、金利が上昇しやすい素地ができつつある。
トランプ政権が言うように減税に景気刺激効果があるとすれば、それもまた債券市場には向かい風だ。
景気がいっそう改善するなら、投資家はアップサイドのない債券を売り、アップサイドのとれるリスク資産に投資を振り向けるだろう。


米国債利回りが上昇するなら、ジャンク債利回りにも上昇圧力がかかる。
信用スプレッドはすでにタイトであり、これ以上縮小するよりは拡大する確率の方が高いだろう。
ジャンク債を使って節税に励んできたエネルギー企業などはダブル・パンチだ。
調達コストが増加するだけでなく、法人税率引き下げによりタックス・シールドも減少してしまう。

ただし、レバレッジを使って収益を上げてきた企業に対する同情はさほど高まらないのかもしれない。
ガンドラック氏は、自分の身に照らして、気になる可能性を語っている。

「私のようにニューヨークにいる人間を考えてみて。
すでにとても高い税率の州だ。
それが、控除を減らされることで、突然大幅な増税になるんだ。
・・・
私の場合15%も税金が増えることになる。」

共和党の税制改革案では、地方税控除の廃止が織り込まれている。
住民が支払った地方税を連邦税の計算の際に控除できる制度だ。
これが廃止されると、地方税の高い地域の納税者には大きな打撃となる。
この点は以前、レイ・ダリオ氏も格差拡大につながりかねないと指摘している。
ガンドラック氏やダリオ氏が住むニューヨーク、コネチカット、カリフォルニア、ニュージャージーなどは州税の高い州だ。
さらに偶然ではなく青い州(民主党の強い州)でもある。

「私はおそらくリスク資産や最近バブっているものを多くは買えなくなる、買わなくなるんじゃないかという気がしている。
こっち側のナラティブが表れてくるのではないか。」


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