この数年誰よりも株価上昇を的確に予想しながらメディアで迫害を受けているジェレミー・シーゲル教授が、めげずに強気予想を続けている。
彼から言われたことを覚えている。
『FRBの(バランスシート)拡大はとても重要だ。
しかし、M1のマネーサプライを見なさい。』
シーゲル教授がCNBCで、シカゴ大学で教授を務めていた頃を回想した。
「彼」とはマネタリストの重鎮ミルトン・フリードマンのことだ。
(今のシーゲル教授からは想像しがたいが、シーゲル教授のMIT博士課程での専攻は金融政策だった。)
フリードマンが重視したM1(現金と要求払預金)がコロナ・ショック後の救済策で急拡大している。
これが戦後見たことのないほど爆発的に拡大している。
3月第1週以降M1マネーサプライは34%増加した。・・・
リーマン危機後1年では・・・17%しか増加していない。
そして、この34%は序章にすぎない。
なんでフリードマンやシーゲル教授はM1増大を重視するのか。
量的緩和と大きな構図の違いがあるためだ。
量的緩和とは、主に銀行から国債等を買い入れる政策だ。
銀行は保有する国債を渡し、かわりに準備預金残高を受け取る。
しかし、銀行が準備預金を持っていても、それだけで経済や市場を刺激する効果は大きくない。
銀行が企業・個人に貸出をして初めて、お金が市中に回り始める。
今回異なるのは、大きな財政政策がともなったこと。
政府等が企業・個人に大規模な給付・貸出を行ったことで、お金が銀行保有の準備預金ではなく、企業・個人保有の銀行預金に配られた。
これがM1の急拡大に反映されている。
この資金が、消費狂いのアメリカ人による消費再開を待っている。
シーゲル教授は、M1がさらに拡大しうると考えている。
感染が再び悪化すれば救済策が追加され、民主党が選挙で勝てば財政拡大に向かうだろうからだ。
教授は、このM1が来年にかけて消費に向かい始めるという。
すべての人が再雇用されるわけではないだろう。・・・
でもそれでも来年にはインフレを予想している。
コンセンサスでないのは承知しているが、2021-22年にはとてもとても強い消費支出が見られるだろう。