JDI:台中連合傘下に。経産省は何をやったのか?

経営不振にあえぐジャパンディスプレイ(JDI)が台中連合の資金援助を受けると報道されている。
同社は4期連続の当期赤字、2018年3月期には617億円の営業赤字を計上していた。


「経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は3日、台湾の電子部品メーカーなどで構成する台中連合3社から、最大800億円の金融支援を受け入れることで大筋合意した。
外資が議決権の5割弱を握ることになり、日本の官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)は筆頭株主ではなくなる。
台中連合の傘下入りでJDIの再建は前進するが、日本の大手電機の事業を統合して誕生した『日の丸液晶連合』は頓挫することになる。」

本日、日本経済新聞が報じた。
報道の通り台中連合が筆頭株主として議決権の5割弱を握るなら、同連合の「傘下」に入るという解釈で的を射ている。
INCJは大きく離れた第2位になるためだ。
JDI株の3日終値は84円、時価総額は約710億円だった。
日経のいう「最大800億円」のほとんどが議決権を持つ証券の形で投資されれば、5割弱の議決権を持つ計算だ。

JDIは事業会社であり、そこには従業員もいる。
企業として何としても生き残りを図るのは当然のことだから、JDIの努力について批判するつもりは毛頭ない。
しかし、単純にファクトを見る限り、この企業のすさまじいキャッシュ・バーナーぶりが見て取れる。
INCJが関与した資金調達を書き出してみよう。

2012年 INCJ、ソニー、東芝、日立がJDI設立。INCJが2000億円を出資し、持ち株比率70%に。
2014年 INCJが新株引受権付社債450億円、劣後ローン300億円を引き受け。
2018年 アップル向け増産のための資金200億円を支援。同時に海外機関投資家から300億円、日亜化学から50億円の第三者割当増資。

INCJの分だけを合算すると3000億円弱となるが、一部は回収されている。
INCJだけでこれだけお金が入っていたのに、時価総額は700億円超だ。
かなりの企業価値が失われてきた、つまり、INCJの投資価値が失われてきたと考えるべきだろう。
ちなみに2014年上場時の公募価格は900円、初値は769円。
繰り返しになるが、昨日の株価は84円だ。


INCJによるJDIの投資は「日の丸液晶連合」を目指したものとされるが、今回、事実上、台中連合に支配権を移すことになる。
この不始末をどう考えるべきか。
INCJによる出資の財源は何か。
官民出資という話にはなっているが、投資金のほとんどは財政投融資によるものだ。

JDIへの投資については、まだ勝負は終わっていないとはいうものの、かなり敗色が濃い。
最終的に相当な金額の損失が出る可能性がある。
たとえば、3000億円の1/3程度の穴が開いたとしても、それは国の一般会計予算の0.1%にあたる金額だ。
とても小さい金額とは言えない。
これが、国会で精査されずに投資され、残念な状況に至っている。

JDIの2012年3月期の従業員数は連結8,971人、単体2,232人。
3000億円を連結従業員数で割るとゆうに30百万円を超える。
銀行救済よりは控えめかもしれないが、民間企業への支援としてはやはり異様だ。

投資だからうまくいかないこともある。
だから、頭から否定的に考えてはいけない。
しかし、抜本的な変化のないまま過去のやり方をただ延長するのもいけない。
INCJには果たして課題解決のための抜本的な変化が起こったと言えるだろうか。
昨年、INCJの業務期限は2025年3月から9年延長され2034年3月までとされた。
(新規投資期間はどこかで切り上げる可能性もあるものの)気の遠くなるような長さだ。
とても惰性にまかせていい期間ではないだろう。

(4月5日追加)

週刊ダイヤモンドの報道によれば、今回の台中連合傘下入りにともない、INCJが1500億円規模の金融支援を行うという。


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