ING:3Dプリンターが米貿易赤字を減らす

社会のありようを塗り替えてしまう破壊的技術はAIやロボットだけではなかった。
蘭INGは、3Dプリンターの大量生産への応用が国際収支を大きく変えると予想している。


INGは、3Dプリンターがさらに高速化されれば、試作品・小ロット品だけでなく大量生産にも応用が進むとレポートで予想している。
産業セクターで言えば、自動車・産業機械・消費財等が有望だ。
例えば自動車部品の分野ではディストリビューター・キャップ、ラジエーター、ブレーキ・キャリパー等は技術的に3Dプリンターでの製造が可能であり、タイヤやブレーキ・パッドは不可能なのだという。
技術的に可能な3品のうち、経済合理性がともなうのはディストリビューター・キャップとされている。


こうした製品を3Dプリンターで大量生産するようになれば、製造の場所は現在ほど重要でなくなる。
そもそも労働者がほとんど介在せず、極めて汎用性の高い生産プロセスとなるからだ。
この結果、製品の製造場所は大きく変わり、国際収支に変化が及ぶと予想されている。
専門家の中には、現在の3Dプリンターへの投資成長が継続すれば、2040-60年の間にも製品の半分が3Dプリンターで製造されるようになるとの推計があるのだという。
これが世界貿易に及ぼす影響は大きい。
2060年に「半分」が達成されれば世界貿易の1/4がなくなるといい、2040年に達成される最速シナリオでは2/5がなくなるのだという。

この恩恵を受けるのは誰だろう。
言うまでもなく悲惨な経常赤字を続ける米国だろう。
米国が工業製品の一部を自国内で大量印刷するようになれば、米貿易赤字の大幅な縮小につながるはずだ。

推計の正確さのほどは別として、そうした変化は起こるのかもしれない。
しかし、これは経常収支のデコボコを減らす話であって、輸入国に雇用を取り戻す話ではないのかもしれない。
むしろ、川上から川下までの製造プロセスが簡素化する分、雇用は減りかねない。
米国にとっては、雇用の改善なき経常収支改善となるかもしれない。
それでも《ドル高は国益》と言い続けられるだろうか。


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