FRBは道を失った:スティーブン・ローチ

元モルガン・スタンレー・アジア会長スティーブン・ローチ氏が、FRBの金融政策についてコメントしている。
愚直に金融政策正常化を進めるパウエル議長を称賛している。


「最初の職場として愛着があり、そこでの仕事が職業訓練・知的刺激を与えてくれたことに感謝しているにもかかわらず、FRBは道を失った。」

ローチ氏がProject Syndicateで、FRBへの失望を書いている。
ただし、この失望はパウエル議長のFRBに対するものではない。
それ以前のFRBに対するものだ。

「バブルからバブルへ、危機から危機へ。
FRBの米経済に対する忠誠を疑問視する強い理由がどんどん増えていた。」

グリーンスパン時代から始まったFRBプットが資産市場を過度に支えてきたことについて、ローチ氏は失望を感じていたのだ。
金融緩和でバブルを生み出し、金融緩和でバブル崩壊後の危機に対処する。
この繰り返しは終わらないのか、持続可能なのか、振幅が大きくなっているのではないか、との懸念は少なくない。
資産価格が効きやすい米国において、資産市場を支えることを否定するわけにはいかないが、だから漫然と同じことを繰り返せばよいという話にもならない。
パウエル議長は少なくとも振幅を元に戻そうと努力しているように見える。


今変わりつつある。
市場参加者からの反発や動揺した米大統領からの憲法違反の脅しを浴びているにもかかわらず、FRBが政策『正常化』の確固たる取り組みを行っていることは称賛されるべきだ。

ローチ氏はパウエル議長率いるFRBの金融政策正常化を称賛している。
市場が悲鳴を上げる中で、受けのよくない信念を表明しているところは素直に評価すべきだろう。
そもそも、金融政策は資産市場のために行っているわけではない。
資産効果を金科玉条とし、資産価格を下げられないとすれば、金融政策は(山あり谷ありあっても)趨勢的に緩和し続ける運命になってしまうだろう。
景気は循環し、資産価格もそれにつれて変動することを受け入れるなら、金融政策正常化で資産価格が下落するのは当然のことだ。
しかし、これが今多くの人たちから批判の的になっている。

批判者が口にする資産効果についても肯定ばかりはできない。
金融政策がある伝達経路を狙う場合、それが資産効果であれ通貨安であれ、経済の構造変化に影響を及ぼす。
守るべき構造なのか、変えるべき構造なのかの議論なく、ただ以前と同じことを続けるだけでは、経済の潜在成長率をかえって低下させてしまうかもしれない。

実体経済が資産経済への依存度を高めるほど、FRBがその連鎖を断ち切るのが難しくなる。
・・・FRBに望まれるのは、資産依存の経済成長の危険と過去20年にわたって米経済に大きな打撃を与えてきた金融バブルの連続を最終的に打ち負かすことだ。
・・・再びFRBファンになるのが素晴らしいことになった。


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