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FRBは来年4回の利上げを示唆すべき:ローレンス・サマーズ
2021年12月4日

ローレンス・サマーズ元財務長官が、金融引き締めについての市場の織り込みは楽観的とし、FRBに例えば来年4回の利上げを示唆するよう促している。


「私は強いと判断する。
私が一番重要と考える数字、失業率は、労働参加率が上昇する中で大きく下げている。・・・
雇用創出は失業率が示す以上に強い。」

サマーズ氏がBloombergで、3日発表の米雇用統計についてコメントした。

米労働省発表の11月の雇用統計は

  • 非農業部門雇用者数の前月比: 210千人増(市場予想550千人増)
  • 失業率: 4.2%(前月比0.4%ポイント改善、市場予想4.5%)
  • 平均時給: 前月比0.3%増、前年同月比4.8%増

非農業部門雇用者数こそ市場予想を大きく下回ったものの、失業率は大きく改善している。
労働者の市場への復帰は緩慢だが、決して求職が難しいわけでもないことになる。
つまり、労働者・潜在的労働者は労働市場に戻るのを急いでいないのだろう。

サマーズ氏はこれを「経済が過熱に向かい、不利な労働者への恩恵、インフレのリスクをもたらしたとの見方と整合している」と総括している。
つまり、非農業部門雇用者数が少ないことは、デフレ的でなくインフレ的な影響を及ぼすとの見方だ。

サマーズ氏は、パウエル議長がインフレを「一過性」と見るのをやめたのを歓迎した。
その上で、より踏み込んだ注文を付けている。
マイナス4%に近づいている実質金利が低すぎるという点だ。
(サマーズ氏は、市場の短期金利からブレークイーブン・インフレ率を差し引いているものと思われる。)
こうした実質金利は「持続的な金融政策があるべき水準ではない」として、以下の点を市場に理解させるべきという。

  • MBS買入れによるQEを継続する理由は全くないこと。
  • QEを早く完全に終わらせるべきでないとする理由はないこと。
  • インフレ目標を上回った時にはいつもやっていることを始める必要があること。

総じて金融政策が現状の市場の織り込みより早く速く進むということを市場に織り込ませるべきとの趣旨だ。

私なら、来年インフレの数字がどうなるかによって両側の不確実性があるものの、4回の利上げを示唆するだろう。
これは動揺を引き起こすだろうが、金融政策が大きく出遅れたことを考えれば、信認を回復するために必要なんだ。

来年4回の利上げに経済・市場が耐えられるかと尋ねられると、サマーズ氏は来年8回よりはましと答えた。
4回の利上げで多少の「動揺」が起こることは覚悟の上なのだろう。
それよりも出遅れることで、もっと悪い状況になることを恐れているのだ。
サマーズ氏の危機感は強い。
1950年代以降の景気サイクルでFF金利のピークが2.5%未満だったことはないこと、現在のインフレ率が5%であることを挙げ、市場の織り込みは楽観的すぎると匂わせた。

証拠が示すのは、(金融政策正常化を)より大きく示唆するほど、信認は大きくなり、後でやりやすくなる。
信認を犠牲にして、それを回復する必要にせまられるのは、1960-70年代の誤りの教訓だ。


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