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FRBは市場上昇にGoサインを出した:ジェレミー・シーゲル
2021年11月7日

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、今週続いた重大イベントについてコメントし、米政治の大きな変化に言及している。


基本的に・・・パウエルFRB議長は、市場の上昇にGoサインを出した。
基本的に、彼は現時点でインフレを心配していない。

シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで5日、2-3日開催のFOMCについてコメントした。
パウエル議長が宣言したテーパリング開始はすでに市場が織り込み済みで、市場の恐れるテーパリング・利上げの前倒しについて議長は全く気配を見せなかった。
教授は議長の方針が誤りと感じたが、それが続く以上は市場が上昇すると考えたという。

S&P 500指数は先月28日以降7営業日連続で上昇を続けている。

シーゲル教授は、5日の雇用統計について大方と同様のコメントを述べている。
概して良好だが労働参加率だけ伸び悩んでいるというものだ。
労働者不足を労働時間の伸びで埋めようとしているが、埋め切れず、労働力不足が続いているとの分析だ。

インフレが和らぐ様子は見られない。
これが過剰な金融・財政刺激策によるものと信じている。

世間では足元のインフレの原因として(容易に解決できない)供給制約が挙げられることが多いが、シーゲル教授は需要側に根本があると考える1人だ。
ブリッジウォーター・アソシエイツなど、こうした考えを口にする人たちが出始めている。

シーゲル教授は次の注目指標を9日発表のPPI、10日のCPIと話した。

シーゲル教授は市場にとって明るいニュースにも2つ触れている。
1つはコロナウィルス治療薬開発のニュース。
もしもうまくいけば、同ウィルスは季節性のインフルエンザの1つに過ぎなくなり、航空・クルーズ船などが再開トレードでにぎわうだろうという。

もう1つ市場にとって明るいニュースとなっているのが、民主党が強いと言われていたバージニア州の知事選で共和党候補が勝利したことだ。

民主党を中道に引き戻し、急進左派グループの力が減っている。・・・
これは社会・経済のいずれでも急進的政策は好まないとする公衆の声であり、民主党はそれを認識しないといけない。

シーゲル教授は、人々の不満が渦巻いているとし、来年の中間選挙で特に下院において民主党が負ける確率が高まったとの見方を紹介した。
結果、株価の重しになってきた法人増税がそう大きなものとはならないだろうという。

興味深く、重大な変化なのかもしれない。
洋の東西を問わず、人々の不満の高まりとともに、先進国の多くでポピュリズムや極端主義が高まった。
それが中道を駆逐し、選挙は(間を取る選挙から)両極端で争う選挙となりがちだ。
右派が1ターン権力を握った後、右派ポピュリストのアンチテーゼである左派ポピュリストが力を得るかにみえたが、つかの間の夢に過ぎなかった。
一部の国では公衆が分断と極端主義に警戒し始め、再び間を取る社会に向かおうとしているのかもしれない。
それを気づかせたのが、米国においては今回もインフレだったのだ。
ポピュリズムの大盤振る舞いがインフレを引き起こし、そこで夢が覚めた。

バイデンや民主党にとって経済の優先順位はとても低い。
(不満の)多くは統計に表れないインフレだ。・・・
2022年(の選挙)も考慮に入れるべきとても大きな政治的力になりうると考えている。

「統計に表れないインフレ」。
日本の資産インフレは比較的緩やかとはいえ、住宅価格が上昇していないわけではない。
国交省による南関東圏の「不動産価格指数(住宅)」はリーマン危機後の2009年4月に底を打ち、今年7月までに底から34.8%(CAGRは2.5%)回復している。)
円安路線は交易条件の重しだし、シュリンクフレーションは今も健在だ。
日本は本当にディスインフレの国と言えるだろうか。
問題は本当に緩慢な賃金上昇だけなのだろうか。


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