昨年6月までニューヨーク連邦準備銀行の総裁を務めたウィリアム・ダドリー氏が、急旋回を始めたように見えるFRBの金融政策についてコメントした。
FRBの政策実行を担うNY連銀を率いた元ゴールドマン・サックスのエコノミストは、冷静に起こったことを分析している。
起こったことを見てごらん。
FRBのバランスシートはまだ縮小中だが、株式市場は第1四半期回復したじゃないか。
いいスケープ・ゴートなんだよ。
・・・市場とはたまにはいろんな理由で下げるものなんだ。
ダドリー氏がCNBCで、昨年第4四半期の株価下落をFRBの金融政策によるものとする見方を一蹴した。
同氏は市場下落について、「国外経済のリスク増大に市場が反応し、弱い利益成長の中で株式市場が下げた」と分析している。
また、ダドリー氏は、ここにきてFRBがハト派側に大きく旋回したように見える点について、株式市場に起因したものではないと話した。
FRBの一時停止には5つの理由があるとして、流れるように列挙した。
- 第4四半期に金融環境がかなり大きく引き締まった
- 雇用が増えたのに失業率の低下が止まった
- 労働市場のタイト化が賃金上昇にあまりつながらない
- インフレがやや軟化した
- 中国・欧州など世界経済の成長に疑問符がついている
「どれが特別に重大というのではなく全体として、経済的下方リスクに対する見方を変えさせたのだろう。
インフレが問題というのではなく、情報が出てくるのを待とうと考えたのだと思う。
(金融緩和が)終わったというのではなく、情報をもっと見たいということだ。」
市場の中には今回のハト派転換を、株価が下がればFRBが助けるというFRBプットの再始動と見る人も多い。
ダドリー氏は、その受け止めは早計だと釘を刺す。
FRBは株式市場の水準自体については関知しない。
もしも市場がタイトになりそれが実体経済に波及する場合には勘案しなければいけない。
株式市場が少しばかり下がっても、FRBには関係ない。
仮に市場のFRBプットについての織り込みが過大であるとすれば、将来に禍根を残すことになる。
良好なデータが出てくれば、市場がどう動こうか、FRBがまた前進を始めると考えられるからだ。