FRBは利上げすべきだが・・・:ロバート・シラー

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授は、経済環境を考えれば31日のFOMCでは利上げすべきと話した。
ただし、金融政策で金融安定を図ろうとしても確実に達せられるものではないと話している。


米国の失業率は依然とても低く、経済は熱している。
インフレ率は目標より下にあるが、大きく下というわけではない。
目標は2%で、現在は1.5%だ。
だから、路線を維持し、今回のFOMCで経済を冷やすために利上げすべきとの主張は容易にできるはずだ。

シラー教授がCNBCで、FRBに利上げを促した。
教授のこの主張の論拠は、金融政策の原則に根差したものだ。
FRBのデュアル・マンデート(2つの使命)が完全雇用と物価安定である以上、経済が良好な中で多少物価上昇率が低いからといって金融政策をひっくり返すのはおかしいと説いているのだ。

もしも金融緩和にリスクもコストもないならば、いつまでも緩和一辺倒でいけばいい。
しかし、現実にはほとんどの政策にはリスクもコストもある。
その最たるものが、資産価格上昇などによる金融不安定化のリスクだろう。
資産市場がバブルになれば、経済・市場は後に大きな代償を支払うことになる。

シラー教授は、資産価格やバブルの第一人者として、現在の米株価を危ぶんでいる。

「S&P 500は3,000を超え最高値を付けている。
市場はとても高い水準にある。
だから、少し市場を冷やそうと試みるのは理にかなったことだ。」


金融安定はFRBのデュアル・マンデートには含まれていない。
FRB高官の多くが、金融安定をFRBの使命とは考えていない節があった。
だからFRBプットがだらだらと続きやすい。
そうした悪しき伝統の中で、ジェローム・パウエルFRB議長は金融安定にも配慮する人物と見られてきた。
しかし、その議長さえも今ではハト派に舵を切ろうとしているように見える。
ただし、早合点は禁物だ。
今回の利下げ転換については、FRB内でも意見が割れていると伝えられているからだ。

シラー教授は、何事もないかのように怖い話をした。
資産価格が上昇した後となっては、FRBが金融安定を守れるかどうかわからないというものだ。

歴史的な例に当たると、1929年の市場クラッシュの直前にFRBは利上げしている。
FRBは過大評価された市場バリュエーションを心配し、市場を冷やしたかったんだ。
しかし、予想できず、効率的な冷却にはならず、大惨事となった。

1929年を引き合いに出すところをみると、もはや時すでに遅しなのかもしれない。
しかも、火に油を注ぐ人は少なくない。
米大統領からして自身の再選のためにリスクを増やそうとしている。

シラー教授は、トランプ大統領らのFRBへの露骨なプレッシャーを嘆いている。

とても残念なことだ。
独立した中央銀行は偉大な発明であり、失ってはいけない。
歴史上、政府が中央銀行の英知を力で押さえ付けた事例が多くあるが、結局はインフレを引き起こすことになる。
(インフレが)始まるには少し時間があるかもしれないが、最終的には悪い状況に至るリスクがあるんだ。


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