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アスワス・ダモダラン FRBは傍観者になる:アスワス・ダモダラン
2021年3月4日

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、米国株市場に内在する矛盾を指摘し、リフレ・シナリオが孕む大きなリスクを話している。


市場には2つ問題がある。
利益予想を見ると、市場は明らかに強い経済回復、もっと強い利益回復を予想している。
そのストーリーは問題ないと思う。

ダモダラン教授が、いまだ高値圏にある米国株市場について、論理の矛盾を指摘した。
片方のシナリオは、経済・企業業績の回復。
これについて教授は肯定的だ。
では、もう一方のシナリオは何か。

同時に、市場は数日前まで金利について楽観していた。
あたかもFRBが金利を自由自在に維持できるかのようだった。
私には、この2つの考えが相反しているように思える。

ダモダラン教授は、経済・企業収益が強く回復するというシナリオ、金利(特に長期金利)が低位に留まるというシナリオについて、個々には起こりうると考えている。
しかし、その両方が同時に成立しうるとは考えていない。
ところが、市場はその両方について楽観視して価格を形成している。
だから、教授からすれば、調整が入ってもおかしくないとなる。

「2つの話が注目を得ようと競うようになると、金利のストーリーが勝てば株が下がるし、利益のストーリーが勝てば株が上がるようになる。
でも、全体で見れば、この矛盾は解消されなくてはならず、それが15%調整となる。
利益予想と金利構造を織り込めば、指数は現在より約15%下と計算される。」

ダモダラン教授による最近の株価評価によれば、1月1日時点のS&P 500評価額は3,360となっている。

ダモダラン教授は、異例の経済政策、とりわけ大規模な財政出動が、株価評価のためのシナリオ作りを難しくしていると認める。
金利を低く保つことは、インフレを抑制しないこととほぼ同義だからだ。

お金をシステムに供給したために企業収益が回復するとすれば、金利が戻るのをどう止めることができるのか。
もしもインフレが2%になり上昇し続けるなら、FRBは(金利上昇を)止められないだろう。
FRBは何とでも言えるが、もしもインフレが2.5%、3%となり上昇を続けたら、FRBは金利上昇に対してやれることは全くない。
FRBは限界的に調整しようとすることはできるだろうが、その時点では金利の設定者というより傍観者になるだろう。


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