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FRBの出遅れは解消されず:モハメド・エラリアン
2022年1月27日

アリアンツ経済顧問モハメド・エラリアン氏は、25-26日のFOMCとその後の記者会見について、FRBの出遅れが挽回されなかったと批判した。


「(今日の市場は)2つのことを教えてくれた。
1つはボラティリティが高く、高止まりするということだ。」

エラリアン氏がCNBCで、26日の米市場について解説した。
26日の米市場はFOMC後の記者会見が始まるまでは高く推移したが、パウエル議長の記者会見が進むにつれ上昇を消していった。
エラリアン氏は今後もボラティリティ高止まりが見込まれるとし3つの理由を挙げた:
経済鈍化の見通し、地政学的緊張、流動性レジームの変化だ。

市場が認識した最も重要なことは、流動性レジームが変わりつつあるということ。
それなのにどう変わるかは明らかになっていない。
それがボラティリティを高めている。

今回の記者会見では、3月からの利上げが示唆され、量的引き締めも従来予想より早まるニュアンスが伝えられた。
しかし、それらプロセスの具体的ペース等については未定とされた。
この不透明さが市場を怯えさせている。

もう1つエラリアン氏が26日の市場から読み取ったのは、押し目買い心理がまだ継続しているということ。
ただし、かつてほどの強さはなく、しばらくは上下の振れが大きく長くなるだろうという。

エラリアン氏は、FOMC声明の内容が予想どおりだったにもかかわらず、市場がFRB議長の記者会見に反応した点に注目する。
市場はFRBのインフレに対する認識の変化を理解し、それまでより大幅な利上げを織り込み始めたという。
ただし、エラリアン氏はそのタカ派的会見でも十分とは考えていないようだ。

興味深いのは、記者会見が意味するのが、市場がハト派のパウエル議長を望んでいるということなのか、それとも先行きについてより明確さを求めているのかだ。
私は後者だと思う。
FRBは現実に追い付く最高のチャンスを見逃し、さらに後手に回ってしまった。

米インフレは7%の水準。
これが2%近くまで自然に低下するなら話は別だが、そうでない限りはFRBはインフレに対処せざるをえない。
つまり、インフレが居座る限りはハト派のFRBは望めない。
インフレを抑え込むにはいくらか経済を冷ます必要がある。

エラリアン氏は、FRBがよりタカ派的になるべきと考えているようだ。
しかし、もちろん市場がそれを望むはずはない。
エラリアン氏は(突き詰めて選択するなら)実体経済と金融市場のいずれが優先されるべきか明言している。

9兆ドルの(FRB)バランスシートが本質的に経済を助けたと考えている人は多くないはずだ。
財政政策は効いたが、金融政策が助けたのは金融資産にすぎない。

エラリアン氏は、進行中の金融政策正常化をFRBプットの変容と捉えている。
FRBプットが資産価格にプラスに働けば、なにがしかの資産効果があるだろう。
インフレのない時代なら、市場と経済の共栄がありえた。
しかし、高インフレの世界ではそれが見出しにくくなる。
エラリアン氏は、FRBプットがファー・アウト・オブ・マネーになったと考えている。

これはFRBプットの話、流動性パラダイムの変化の話で、すべてがインフレと関係している。・・・
市場が適応しなければならないのは、インフレによってもはやFRBが永遠の最良の友でいられなくなったということだ。

極端な金融緩和政策が(その強化中こそ多幸感をもたらしても)その出口において厄介な問題を引き起こすことは当初から予想されたことだ。
理屈どおり、予想通りのことが米国で起こっている。

日本は幸いそれほどインフレは高くない。
しかし、賃金上昇もはるかに鈍く、統計不正さえ明らかになるような実質賃金の状況だ。
(幸か不幸か新たな首相はそういう忖度を望まない人物のように見えるが、それでも厳しい現実は続く。)
かつてリフレ派の一部には、インフレになりさえすればすべてうまく行くかのような極論を語る輩もいたが、そうではないことはすでに明らかになっている。
パンデミック等でただでさえ国民の不満は高まりやすい状況だ。
財政をふかせば、インフレ要因になる。
それでも大きな賃金上昇に期待できる兆しはなく、実質賃金は厳しい水準に置かれよう。
つまり、日本もインフレに対して寛容でなくなっている。
いつまでも日銀には出口がないとはいえなくなっているのかもしれない。


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