FRBで割れるイールド・カーブの解釈

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FRB内部で米イールド・カーブの解釈について割れている。
果たしてイールド・カーブのフラット化は危機なのか、そうでないのか。


今回の利上げ局面でも「グリーンスパンの謎」が再現した。
FRBが利上げしても長期金利はそれにつれて上がらない。
今回の利上げ期にもこの現象が起こっている。

米10年債(青)・2年債(赤)利回りと実効FF金利
米10年債(青)・2年債(赤)利回りと実効FF金利

FF金利を引き上げると2年債利回りは上昇するので、結果10年-2年スプレッドは縮小する。
イールド・カーブが徐々にフラットになっていく。
そして、フラットまたは逆ざやのイールド・カーブは経済・市場の後退の兆しとされてきた。
ところが、今回のフラット化についてFRB内で解釈が割れている。

長期金利上昇説

クリーブランド連銀Loretta Mester総裁は、今回の利上げ期に関する限り、過度なイールド・カーブのフラット化の可能性は大きくないとBloombergに話している。

「現在の経済、現在の経済見通しを前提にすれば、長期金利は上昇すると考えられる。
しかし、(長期金利が上昇しないことは)短期金利引き上げを行うべきもう一つの理由だ。
金融環境は緩和的なままだ。」


こうした見方は先日のサンフランシスコ連銀の見方と擦り合うものと言える。
今回長期金利が上昇しないのには理由があるとし、フラット化を自動的に凶兆と判断すべきではないというものだ。
SF連銀では、フラット化よりもむしろ急激な長期金利上昇に注意すべきと主張している。

FRB内のタカ派で知られるメスター総裁にとっては、イールド・カーブのフラット化に懸念する声もFF金利引き上げを躊躇させるものではない。
上がらない長期金利に象徴されるように、米金融環境は依然として緩和的だ。
それを引き締めるのに戸惑いはないのだ。

利上げ原因説

一方、ハト派で知られるセントルイス連銀James Bullard総裁の見方は真逆だとReutersが伝えている。
イールド・カーブのフラット化は凶兆だとして、フラット化を引き起こさないためにも利上げは慎重に進めるべきと考えている。
近時の10年-2年スプレッドは60ベーシスを切る局面もあり、現在予想されているペースで利上げを進めれば1年以内にイールド・カーブは逆ざやになりかねない。

「FOMCが現在の路線を継続すれば大きなリスクがある。
逆ざや化は当然ながら弱気のサインだ。
市場や政策決定者が注目すべき点だ。」

中立派と言われるダラス連銀Robert Kaplan総裁もイールド・カーブのフラット化を心配する一人。
利上げは、イールド・カーブの形状に留意しながら行うべきとの考えで一致している。

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