海外経済 投資

FRBが長期金利をペッグしない理由:ジェレミー・シーゲル
2020年11月12日

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、週次のポッドキャストでFRBの金融政策、分散投資について質問を受けている。


1%でなく、1.5%でもなく、2%まで行くかもしれない。
そこで、長期側の金利を抑えるために買入れ対象を短期国債から長期国債に変えるべきか話し合うのだろう。

シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、FRBによる長期金利ターゲット、あるいはイールドカーブ・コントロールの可能性を尋ねられた。
教授はこれまで、FRBが長期金利をペッグすることを予想して来なかった。
短期金利についてはFF金利を通して長い間低位に抑制されると予想している。
これにともない、経済回復とともに長期金利は上昇するとのシナリオだ。

そこで、多くの人が思うはずだ。
FRBは追加緩和の手段として長期金利ターゲットを用いないのか、と。
実際、第2次大戦時には財政上の理由から長期金利をペッグしている時期があった。

FRBは極めて短期の金利を制御することができ、FF金利の操作によって低く抑えつけている。
しかし、FRBは、自らの長期金利に対する制御に限界があることを知っている。

長期金利は中央銀行でも(長期にわたって)コントロールできない。
これは、かつて正しいとされていた考えだ。
しかし、日本のイールドカーブ・コントロールはそれを打ち破ったように見える。
なぜFRBは日銀に追随しようとしないのか。

シーゲル教授は、FRBが買入れ対象の年限を少し長期化するなどのポーズなら使うかもしれないという。
ポーズや口先によって市場参加者を操れれば幸いだ。
しかし、本格的に自身で長期金利を操ろうとはしないという。

もしも失敗すれば、中央銀行の信認を失う。・・・
中央銀行の最も強力な力の1つはその信認だ。

つまり、長期金利ターゲットという手法は難易度が高く、中央銀行にとって危うい賭けになってしまうのだ。
もしも失敗すれば中央銀行は信認を失い、フォワードガイダンスや口先介入などの安価で強力な手段を失ってしまう。

逆に、すでにイールドカーブ・コントロールに取り組んでいる日銀にも危うさがあるのかもしれない。
日本は金余りの国で、国債は国内消化が多く、経済の潜在成長率が低いこともあって、長期金利は素直にゼロ近傍に落ち着いてきた。
仮に何か前提に変化があるなどして長期金利がターゲットから離れれば、中央銀行は同時に2つの武器を失うことになるのかもしれない。
(実際には、指値オペが行われる限り、国債利回りがターゲットを離れることはない。
《ターゲットを離れる》とは、日銀が操作しない国債以外の市場で実質的に起こる現象になるのだろう。)

シーゲル教授は、国際分散投資を続けるべきかとの質問を受けている。

ワクチン、バリュエーション、穏やかなインフレによるドル安の見通しを勘案すれば、今は国際的な資産配分を取りやめるべき時じゃない。
いつか報われるはずだ。
同様に、バリュー株・グロース株についても言えることだ。
バリューを持ち続けるのは苦痛だったし、外国投資を続けるのも苦痛だった。

ポッドキャストのあった9日はファイザーによるワクチン開発についての明るいニュースが伝わった日だった。
市場は全体で見れば素直に前向きに反応した。

シーゲル教授は、強気であると同時に慎重だ。

「もしかしたら、欧州が6.3%上げた今日が転換点かも。
確かなことはわからない。
私がいいたいのは、国際的配分をあきらめるなということだ。」


-海外経済, 投資
-,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。