FRBが金融緩和で唯一成功すること:ピーター・シフ

Euro Pacific Capitalのピーター・シフ氏が、7月31日のFOMCでの利下げについて厳しく批判している。
FRBの拡張的な金融政策が米経済に構造的問題を生じさせているという。


「FRBが利下げした主な理由は、株式市場のバブルから空気が抜けていくのを防ごうというものだ。
もう1つの理由は、このいわゆる景気拡大というのを継続させたいのだろう。
それは失敗する。
FRBが金利をどうしようが、米国は景気後退に向かっている。」

シフ氏がロシア国営RTで、FRBの利上げを批判している。
同氏は米経済が順調なように見える点を認めつつ、実体はそうではないという。
仮に、経済が好調、大統領が言うように史上最も強い状況にあるのだとすれば、利下げをするのは理にかなわないと指摘した。

ほぼ全否定に近いようなシフ氏のFRB評だが、中にはFRBが成功すると予想する点もある。
それがリフレである。

唯一FRBが成功するのは、インフレを復活させることだ。
FRBはインフレが低すぎると主張し、インフレ率が上昇するのを確認したいとしている。
FRBはそれだけは成功するが、不幸なことにそれが最大の失敗になる。

シフ氏は現在がバブルだとし、「2008年の崩壊前よりも悪い状態」だという。
何が悪いのか、シフ氏は2つ挙げている。

「FRBは前回よりももっと大きなバブルを膨らませてしまった。
缶蹴りの缶を蹴れば蹴るほど、このバブルの結果である不均衡が大きくなり、空気が抜ける時の痛みも大きくなる。
これが将来起こることであり、次の景気後退で悪いのは、それがインフレ的になることだ。
景気後退は単なる停滞だけでなくスタグフレーションになるだろう。
インフレ率は前回1970年代にスタグフレーションがあった時より高くなるはずだ。」


シフ氏は大きな転換を予想しようとする夢想家だ。
だから、ほとんどの予想は程度・時期まで含めると外れてしまう。
しかし、10年に一度ぐらい、大当たりすることがある。
自然とシフ氏の主張や推奨は、こうした稀有な状況に備えるべきというものになる。
当然ながら、これは10年に一度ぐらいしか顧みられない。

シフ氏の主張は単純明快で潔い。
利上げし、「いわゆる景気拡大」を終わらせ、バブルを退治しろというものだ。

「FRBは株式市場を下落させ、不動産市場を下落させ、債券市場を下落させ、米政府に歳出削減を迫らないといけない。
これこそ必要とされることなのに、FRBは金利を人為的に低く保ち、歳出増を支え、資産バブルを支えている。
これが実体経済に悪影響を及ぼしており、次の経済危機の土壌となっている。
次の経済危機は前回よりはるかに悪く、救済は行われないだろう。」

言いたいことはよくわかるし、正論と言えなくもない。
しかし、こうした政策を支持する人はそう多くないはずだ。
それでも自分の主張をぶれずに言い続けるところが、異形のエコノミストの真骨頂なのだ。
(米国を憎むロシア国営メディアから好まれるのもこのためだろう。)

金融政策が構造的に繰り返しバブルを生み出しているとの指摘は少なくない。
シフ氏は、多くの人が抗しがたい論点を持ち出し、FRBの政策を批判している。

米国が深刻な構造的問題を抱えると言う、これらすべての問題がFRBが金利を低く維持し続けている結果なのだから、再び利下げしても問題解決にはならない。
根底にあるすべての問題を悪化させるだけだ。


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