EUに入れない米国:ジェフリー・ガンドラック

新債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、米財政の悪化について心配した。
今後数年で米政府の利払い費は数倍に拡大するだろうと予想した。


「連邦政府の公式の財政赤字は8,000億ドル(約84兆円)だ。
しかし、政府はもう1つ数字を公表しており、それは『国家債務』だ。
国家債務は1.3兆(約140兆円)ドルも増え、公式に公表された財政赤字より50%以上も多く増えていることになる。」

ガンドラック氏が2018年9月の連邦政府の年度末における政府の債務状況をBarron’sで解説した。

この2つの数字の差には、自然災害時の支援、ある種の軍事費などが含まれるのだという。
なぜ、公式の赤字に含まれないのかと言えば、これらが一時的な歳出と見なされているためだ。
しかし、ガンドラック氏は、これらを一時的と考える理屈はないという。
「洪水は毎年起こるし、米国は永遠に軍事作戦を行っているように見える」からだ。
さらに、社会保障制度にかかわる債務もあり、米国の実質的債務は考えられているよりはるかに急速に増えていると指摘した。

EUには入れない米国

「GDPは21兆ドル(約2,300兆円)あり、1.3兆ドルは対GDPで約6%にあたる。
欧州で大きな騒動になったことを思い出して。
イタリアがGDPの2.4%の赤字の予算案を公表した時のことだ。
米国は6%の赤字だ。」


ガンドラック氏は、足元の米経済成長の一因が昨年末に決まった財政刺激策(減税と歳出増)であったと話す。
仮にこの刺激策がなかったなら、GDPは現状より下回り、債務対GDP比率はより悪い数字になっていただろうという。
問題は、財政刺激策の効果がそれを止めた時に剥落してしまう点だ。

「2018年度の国家債務の差分は2017年度より4,000億ドル(約42兆円)以上もあり、これはGDPの約2%にあたる。
・・・
赤字財政支出の増加分を維持しようとすれば、債務は数兆ドルに増えてしまう。」

金融・財政の自爆作戦

さらに厄介なのは金融政策との方向性の相違だ。
FRBはかねてから正常化を模索しており、そこに財政政策が拡張的になった。
双方を合わせて打ち消し合うと見れば悪い話ではないが、これは債券市場にとっては大打撃だ。

ちょうどFRBは望んでいたとおり利上げしてきたから、私はこれを『自爆作戦』と呼んできたんだ。
米国は債務を増やし、その債務のコストは自然に上昇している。

さらに忘れてはいけないのは、これらが連邦政府の話にすぎないということ。
州や地方にも債務・負担が積み上がっている。

「ネットで見れるhttp://www.usdebtclock.org/ではこれらがすべてパネル表示され、東京のタクシーのメーターのようにどんどん上がっていく。
それによれば、米国の未積立の債務は122兆ドル(約1.3京円)、GDPの6倍だ。
仮に経済全体の10%をこれら制度の未積立分の積み立てに回すとしても、60年かかることになる。」

(次ページ: 利払い負担が急増する)


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