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ECYは1980年代初め以来の高水準:ロバート・シラー
2020年12月8日

ロバート・シラー教授が、シラーCAPEレシオを応用した超過CAPE利回りと呼ぶ指標を用い、現在の株高を分析している。


伝統的な金融理論では、金利は(株価)評価モデルの主要な要素とされている。
モデルの他の入力を一定とすれば、金利が低下すれば、モデルで用いる割引率は低下し、株式資産の価格は上昇する。
だから、各国中央銀行による利下げは、株価とCAPEレシオ上昇を正当化するために用いられた。

シラー教授がProject Syndicateで、いまだ困難な状態を抜け出せていない経済と史上最高値を試す株式市場の間の乖離について検証している。
教授は、シラーCAPEレシオによって、株式市場の活況を説明する。

  • 米国: パンデミック前より高い。今より高いのは1920年代と2000年代しかない。
  • 中国: パンデミック前より高い。
  • 欧州・日本: ほぼパンデミック前。
  • 英国: パンデミック前を大きく下回る。

回復が鈍い市場では、テクノロジー・通信・一般消費財のエクスポージャーが低い傾向があるのだという。

英国を除けば、経済の苦境をよそに市場は足早に回復した。
この原因について、シラー教授は、いくつかのナラティブを挙げたが、むしろ金利の要因に多くの紙面を割いている。
債券との比較において、株式の魅力が高いとの考えだ。

これを説明するために、教授は「超過CAPE利回り」(ECY)と呼ぶ指標を提案している。
CAPEの逆数をとって利回りとし(PERにおける益回りにあたる)、それと10年債利回りのスプレッドを計算したものだ。
CAPEの逆数で将来リターンを推計する場合の、エクイティ・リスク・プレミアムの予想値としての意味合いがある。
シラー教授は、ECYが大きいほど株式が魅力的と説明し、過去40年データがある限り各地域のECYを計算している。

  • 米国: 4%
  • 中国: 5%(データ期間が短い)
  • 欧州・日本: 6%
  • 英国: 10%

いずれの地域でも、現在はECYが最高値に近い水準にあるのだという。

私たちの世界データでECYがこんなに高かった他の時期は1980年代初めだけだ。
この時期の特徴は下げた株式の割安なバリュエーション、高金利、高インフレだ。
当時の5地域のCAPEレシオは10台の低い方だった。
今は20台、30台だ。
これら条件は現在(割高な株式と極端に低い実質金利)とほぼ真逆だ。

何とも不思議な現象だが、残念なことにシラー教授は解釈までは提示していない。
ボルカー・ショックの頃、株が安く、予想リターンが高く、金利が高くても、ECYが高かった。
今は、株が高く、予想リターンが低いが、金利が低いので、ECYが高い。

ボルカー・ショック以後は金利低下を超える(株価上昇による)予想リターン低下があり、ECYが低下した。
今後はどうなるのか。

シラー教授は、将来を予想はしていない。
(特段、教授はECYが中央回帰するとも述べていない。)
ただ、現状の株価についてコメントしている。

最終的に、いつか債券価格が単に上昇し、株価バリュエーションが利回りとともにリセットされることになるのかもしれない。
しかし、現状は、リスクと高いCAPEレシオにもかかわらず、株式市場のバリュエーションは一部の人たちが考えるほどは愚かしいものでないのかもしれない。


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